電羊倉庫

嘘をつく練習と雑文・感想など。ウェブサイト(https://electricsheepsf.web.fc2.com/index.htm)※「創作」タグの記事は全てフィクションです。

ハーラン・エリスン『死の鳥』[エリスンのベスト短編集]

 エリスンを初めて読んだのは大学生のころで、もちろん『世界の中心で愛を叫んだけもの』だった。

 強烈なタイトルはいろいろなところでパロディにされているし、たぶんテレビ版『エヴァ』の最終回のサブタイトルに引用されていることと片山恭一『世界の中心で愛を叫ぶ』の元ネタ(?)とされていることが有名だと思う。

 こういう印象的なタイトルは大好きで、同短編集なら「殺戮すべき多くの世界」や「ガラスの小鬼が砕けるように」なんかがたまらなくて、意味が分かりそうであんまりよくわからない感じも素晴らしい。翻訳本だからちょっと高かったけど、良い買い物をしたぜ!と意気揚々と家に着いたことすら覚えている。そのくらい期待値が高かった。

 けど、内容はまったくわからなかった。いや、本当に。なにが起きているのかわからない。わからなさすぎて「あっ、エリスンってあわないな」と思って一作目で読むのをやめた記憶がある。で、しらばらく時間をおいて(金欠でほかの本を買う余裕がなかったこともあって)再挑戦したけど、やっぱりあまり高くは評価できていなかった。結局、エリスンをちゃんと好きになったのは二十代前半くらいのころに国書刊行会のアンソロジー『ベータ2のバラッド』で「プリティ・マギー・マネーアイズ」を読んでからだった。その後、『危険なヴィジョン1』*1での「世界の縁にたつ都市をさまよう者」やドナルド・A・ウォルハイム/テリー・カー編『ホークスビル収容所』で「おれには口がない、それでもおれは叫ぶ」を読んで、あのしびれるような読書体験が忘れられなくなった。

 それだけに『死の鳥』と『ヒトラーの描いた薔薇』、やや時間をおいて『愛なんてセックスの書き間違い』が刊行されると知ったときは嬉しかった。もちろんすべてすぐに購入し読破した。けど、初めて手に取った『世界の中心で愛を叫んだけもの』を再び手に取ろうとは思えなかった。たぶん、ちょっとしたトラウマというか、初対面の印象が悪すぎて手に取るのを躊躇しているのだと思う。

 じゃあリハビリをしよう。

 

 ということでお気に入りの『死の鳥』を読み返してみた。

 この短編集も初読のときは「「悔い改めよ、ハーレクィン!」とチクタクマンはいった」と「ランゲルハンス島沖を漂流中」がイマイチというかよくわからなかった記憶がある。けど、読み直してみるとそんなことはない。特に「ランゲルハンス島沖を漂流中」は初読のときよりずっと印象が良くなっている。この辺は読解力というより読んだときのコンディションの問題かもしれない。

 逆に「プリティ・マギー・マネーアイズ」は初めて読んだ時より若干感動が薄れている。面白くなかったわけじゃないけど初めて読んだときの衝撃はちょっと色褪せていた。もちろんP97ほぼ全文の異常なまでのリズムの良さは、ほんとう、どうにかしてマネしたいくらい好きなのは変わらない。たぶん、初読の時が好印象すぎてちょっと思い出の中で美化していたのかもしれない。通して読み返さず気に入ったところだけを眺めてたりしていたし。

 白眉はやっぱり「死の鳥」と「おれには口がない、それでもおれは叫ぶ」「世界の縁にたつ都市をさまよう者」で、特に「おれには口がない、それでもおれは叫ぶ」は暴力性もさることながらラストシーンが素晴らしい。単純な暴力描写でいえばたぶん「世界の縁にたつ都市をさまよう者」が一番かな。まあ、「世界の縁にたつ都市をさまよう者」は『危険なヴィジョン』収録のロバート・ブロック「ジュリエットのおもちゃ」とセットで読みたいところというのもある。

 エリスンの短編はかなりの数が翻訳されたけど、やっぱりこの短編集がベストだ。事実上の傑作選だと思う。

 

収録作

「「悔い改めよ、ハーレクィン!」とチクタクマンはいった」
「竜討つものにまぼろしを」
「おれには口がない、それでもおれは叫ぶ」
「プリティ・マギー・マネーアイズ」
「世界の縁にたつ都市をさまよう者」
「鞭うたれた犬たちのうめき」
「北緯38度54分、西経77度0分30秒 ランゲルハンス島沖を漂流中」
「ジェフティは五つ」
「ソフト・モンキー」

*1:当時は一巻分しか出てなかった

完全初心者がマスターデュエルでプラチナtier1に上がった感想

 プラチナtierⅠに上がった。

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 ……というより、上がってしまった。

 

 たぶん、時期が良かったというのもあると思う。Twitterで話題になっている【DDダイナマイト】が先行取られて1ターンサレンダーをしてくれたのが二回はあったし、イベントが間近に迫っていたこともあって環境デッキにあたる機会も少なかった。何より異常に運が良かった。tierⅢからⅡにあがるまでに四回連続で先行をとり、そのあと三回連続で先行をとれたことがあった。使ってるのが先行制圧系のデッキなのだから、それだけ先行を取れればそりゃあ勝てますわ。ここだけでも7/8だから先行率87%くらいなわけで、明日頭の上にニビル君が降ってきても文句は言えない。

 最高ランクに上がれたのが間違っても実力といえないのはフリーデュエルで「N/R レアリティフェスティバル」の練習をやっていたんだけど、ゴールド帯や悪くするとシルバー帯にも手札事故ではなく凡ミスで負けたりすることもあったからだ。どのデッキがどんなことをしてきて、何を警戒しなければならないのかわかっていない。無意味に罠カードを割って逆転負けしたこともあったし、明らかな釣りに引っかかってボコボコにされたことも数えきれない。というか、自分が使っているカードの効果をきちんと把握するのにだいぶ時間がかかった。

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次のイベントはこんな感じのデッキで行こうと思っている。

 

 そんなレベルなのに(運が味方してくれたというのを抜きにしても)プラチナtierⅠに上がれたのは、ひとえに完成度の高いデッキを丸々コピーして使っているおかげだ。使っているデッキはここでも書いた通り【エンディミオン】と【セフィラ・エンディミオン】で、この二デッキを交互に回していた。【エンデュミオン】はほんの少しだけ自分で手を加えたけど、【セフィラ・エンディミオン】は全く手を加えていない。どちらのデッキも《灰流うらら》だけでは止まりにくく*1、制圧盤面を作れるから、そりゃあ定石をわかっていれば勝てますわな。ほんとう、ただそれだけだったと思う。

 というわけで運とデッキパワーだけで上がっただけで、まだ遊戯王のことをほとんどなにもわかっていない。しばらくはプラチナ帯でボコボコにされながらちょっとづつ学んでいきますわ。

 

 

 

 ……けど、せっかくtierⅠに上がれたことだし一つだけ上から目線なことを書いてみようと思う。

 EXデッキで必須のカードについてだ。

 初めてデッキを組むときにものすごく困ったんだけど、EXデッキの優先度がわからない。ただでさえEXデッキのカードは高価なものが並びがちなのに、どのカードがないとデッキを動かしにくいのかサッパリわからない。【エンディミオン】は比較的EXデッキに依存しないというけど、それでもなにが必須級でなにがあったほうがいい程度のレベルなのか説明している人があまりいなかった*2。この辺はむしろプレイ歴が浅いほうが身に染みてわかったりしているような気もする。まあ、こんな記事を読む人がそんな基礎的なことに困ったりするのかは疑問だけど。

 

 必須なのは二枚。《ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム》《神聖魔皇后セレーネ》

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エンディミオン】どころかペンデュラムデッキで必須の一枚

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リンクマーカーが下三つなのが偉い

 この二枚は先行だろうと後攻だろうと展開で必ずといっていいほど使う。ペンデュラム召喚をしないでペンデュラムモンスターを二体そろえられれば、「二体を素材に《ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム》を召喚→①の効果でサーチしたいモンスターをEXデッキに置き、②でペンデュラムゾーンのモンスターを破壊し1ドロー。フィールドにモンスターが余ってるor何らかの手段でもう一体を召喚できれば、《ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム》とそのモンスターを素材に《神聖魔皇后セレーネ》を召喚。ペンデュラムゾーンにモンスターを張りなおせば三体をEXデッキからペンデュラム召喚できる」と、かなりの枚数のモンスターを並べることができる。もし魔法カードを多用していれば《神聖魔皇后セレーネ》の②の効果でさらに特殊召喚できる。

 

 コンボで使うしかなり安価だから揃えたいカードが二枚。《オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン》と《オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン》だ。

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簡単な条件で召喚できる妨害モンスター

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↑を召喚するためのモンスター

 このデッキは《創聖魔導王 エンディミオン》《エンプレス・オブ・エンディミオン》《アストログラフ・マジシャン》とレベル7のモンスターをそろえやすくて、そのうち二体で《オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン》をエクシーズ召喚、そしてリンク素材にして《神聖魔皇后セレーネ》を出すか、《創聖魔導王 エンディミオン》のペンデュラム効果で破壊して素材もろとも墓地に落とす。それによって《オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン》の②の効果で《オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン》を特殊召喚できる。《オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン》で妨害を構えて、もし場に《神聖魔皇后セレーネ》がいれば墓地に落ちたモンスターを蘇生させることもできる。

 

 ほかにもあったほうが便利なカードはあるけど、とりあえず最低限、これだけあればデッキは回せるはず。残りは動画やウェブに転がっているサンプルデッキを参考に付け加えていけばいいんじゃないかな。

*1:もちろん時と場合によるけど、どちらかというと《増殖するG》のほうが困る

*2:ただでさえメインデッキに入るカードにSR/URが多くて大変だからできるだけEXデッキは安価なもので押さえたい、というのが人情だと思う。

読書感想文と方程式

 読書感想文と方程式って真逆のプロセスを踏んでいる。 

 

 学生の頃の苦手科目は数学、得意科目は国語だった。

 幼少期の母の読み聞かせのおかげで読書好きの子供になっていたから文章を読んだり書いたりするのに苦労することはなかった。小学校の頃のテストはほぼ楽勝で、中高では古文には苦戦したけど、それ以外は読解も作文も苦労したことはない。

 対して数学は中学以来ずっと苦手で、ギリギリⅠAはまだ理解できたけどⅡBは怪しく、ⅢCに至っては受験で必要ないことをいいことに逃げ回った。

 わかりやすい文科系の理科系嫌いだったんだけど、算数は嫌いではなかった。いまの子供たちはわからないけど、むかしは学校で百マス計算なるものをさせられていていた。このサイトにあるようなプリント紙を使ってひたすら計算をする……というのを朝の学活前とかの時間にやらされていた。終わった人から手を挙げて先生がタイムを教えてくれる。小学生なんて単純なもので、こういう分かりやすい競争が大好きだから勉強の一環(というか訓練)という意識は低く、勉強嫌いの連中もけっこう楽しんでやっていたような記憶がある。

 で、おれはこれが得意だった。かなり速いほうだったとも思う。もちろん、田舎の小学校だからたかが知れているけど、後に理科系の大学院に進学する弟よりずっと速くできていた。もちろん、そのころから図形の問題なんかは苦手だったけど、そんなに致命的ではなかった。

 それだけに数学に中学で躓き高校で挫折したのには母親も首をかしげていた。自分でもなんでだったんだろうと思いかえす。で、ちょっと納得のいく理屈を捻り出せた。

 

 数学が不得意なのは「抽象的なもの」が苦手だったからだ。そして、国語……というか読書感想文が得意なのは「具体化する」のが得意だったからだ。読書感想文は「抽象的なものを具体に落としこむ作業」で、数学は「具体的な事象を抽象化する作業」だ。おれはこの抽象化で躓いた。

 

 例えば「1+1=2」ってのがあるじゃないですか。同じように「2+2=4」「3+3=6」「4+4=8」……と永遠に続く小学生でもわかる初歩的な算数がある。これって同じものを二回足すと二倍になることなんだけど、これを抽象化して一般化すると「a+a=2a」ってことになる。具体的な算数を、とても抽象的で便利な数式に変換する……というのが数学の基礎なんだと思う。具体的な事象を、抽象的な数式に落とし込んでいる。

 これとは逆に読書感想文は「面白い/つまらない/感動した/不快だった」というものすごく抽象的な感情というを、「なぜ/どうやって/どうして」という枕詞や作品感比較、自分や他人との人生との比較を使って具体的に説明する。抽象的な感情を、具体的な説明文に落とし込んでいる。

 どちらも文理の代表選手だけど、真逆のプロセスを踏んでいる。

 

 たぶん、広く知られるイメージは逆だと思う。「国語ってふわふわした抽象的なことを学問していて、数学は現実に根差した具体的な現象だけを扱っている」って感じで。まあ、このへんはおれの理系コンプレックスがそう思わせているだけかもしれないけど。

 算数はできるけど数学はできなくて読書感想文が得意……という人間なりにそんなことを考えた。ちなみに、そう考えると大学時代、文科に分類されている経済学で盛大につまずいたのもうなずける。経済学は現実で起きている現象を数式化して抽象/一般化する学問だったからだ。

 もちろん、こんなのは学問的な裏付けがあるわけではなくて、ただの思いつきに過ぎない。おれは初等数学で躓いた人間だから、特に数学についてはてんで間違っているかもしれない。けど、なんとなく腑に落ちる人もいるんじゃないかな。

はじめての遊戯王

 マスターデュエル、始めました。

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 遊戯王はほぼ直撃世代なのにまったく触れたことがなかったけど、別ゲーム経由で観始めたあまくだりさんの元ネタ(?)が遊戯王ということもあってちょっと興味はあった。基本無料なことだしせっかくだから触れてみようかな……ということでダウンロード。

 チュートリアルがけっこう親切でゲームの流れをおおまかに知ることができる。カードゲーム自体は経験がないわけではなくて、太古の昔にポケモンカード、大昔にガンダムウォー*1をプレイしていた……まあ弟としかプレイできなかったんですけどね。その経験値がある程度生きたというところもあるかもしれないけど、何をしていいか全くわからないとか、そういうことはなかった*2

 びっくりしたのは所謂「マナ」がないことで、ポケモンカードガンダムウォーもそれぞれ「エネルギー」と「国力」という「マナ」のようなものがあって、そういう単体では意味をなさないカードをどのくらい入れるかもデッキ構築の重要な要素だった(ような気がする)けど、遊戯王ではそれがない。デッキ内容の自由度が上がる反面、そのせいで高速化してるのかなあ、とも思う。

 

 とりあえずゲームの流れと勝利条件は理解できたし、例によってあまくだりさんの動画のアドバイスの通りセット商品とストラクチャーデッキを入手し適当に枚数を合わせてプレイしてみた。

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ウマの方ではダートでお世話になっています。

「へえ~、《灰流うらら》が必須級のカードなのかあ。なになに、ふーん、ガンダムウォーでいうところの「作戦の看破」みたいなものかな。まっ、とりあえず残り二枚も生成しとくか」

 みたいな感じで始めて、待ち時間ギリギリになりながら何戦か回し、一度は【エグゾディア】を綺麗に決められキレながらちょっとずつ色々なことを把握していく。特に湯蔵ちゃんねるさんの動画を丸々参考にして作った【希望皇ホープ】は本当に勉強になった。遊戯王の基本*3って「カード効果でたくさん召喚してEXデッキの強いモンスターに変換する」みたいで、そういうことを学べる。広げて圧縮、広げて圧縮、を繰り返し相手の効果を妨害できるカードをそろえて相手の行動を制限し、攻撃力の高いモンスターで相手のライフを削りきる。シルバーランク帯まではこれでどうにかなった*4

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ありがとう《獣装合体 ライオ・ホープレイ》くん

 

 で、ある程度慣れてきたしちゃんとしたデッキを作ってみようかなといろいろ検索してみたらみりおんさんのnote記事で【エンディミオン】という魔術師デッキがあることを知った。どうやら強いらしいし「ペンデュラムってたくさんいっぺんに召喚できるお得なやつじゃん。魔術師ってかっこいいしこれにしよ」と次の目標に決めた。

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SR/URだらけなんですが……

 えっ、高くない? 必須のモンスターがほとんどSRとURなんだけど……。

 仕方なのので持っているジェムのほとんどを「知識を束ねる魔導王」に突っ込み必死に《創聖魔導王 エンディミオン》や《魔導獣 キングジャッカル》をかき集めた。なんとか形になったとき*5にはジェムもCPも底をついていた。ただ、これもマスターデュエルのいいところで、わりとジェムは配ってくれるから、【エンディミオン】みたいなデッキはともかく、ほかのやつなら一つや二つくらいは楽に作れると思う。

 最初は《オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン》→《オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン》→《神聖魔皇后セレーネ》での蘇生すら理解できなくて、EXデッキのカードはほとんど使わず、本当にただ《魔導獣 キングジャッカル》と《創聖魔導王 エンディミオン》を横に並べまくっただけだったけど、ノックスさんの動画をいくつか見てやっと立ち回りがわかった。ノックスさんの動画は本当に勉強になります。何より動画で観れるのが良くて、どういう処理順になるのかを視覚で理解できる。いまでもお世話になってます。もういまでは《ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム》なしではデッキを回せない身体になってしまった。

 

 Season1はこれでギリギリどうにかプラチナⅤに上がることができた。で、次のシーズンから別のデッキを使ってみたいなあ、と探してみたら【セフィラ・エンディミオン】というデッキがあるのを知った。主流なのはどちらかというと【セフィラ】がメインで【エンデュミオン】は補助的な役割らしい。それでもいいかな、とも思ったけど、せっかくなら手元になる【エンディミオン】のカードを活かしたい。……で、探してみたら「それはどうかな」と言える遊戯王ブログさんの記事にたどり着いた。丸っと使わせてもらっています。初動がうまくいけば【エンディミオン】よりずっと良い盤面を創れる。……っていうか《水晶機巧-ハリファイバー》やばいなあ、マジで。《ヘビーメタルフォーゼ・エレクトラム》もやばいと思ったけど《水晶機巧-ハリファイバー》は輪をかけてやばい。まあ、ハリラドンの動きはあまくだりさんの動画で理解できたところはあるんだけど。

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カードを集めるのは割と楽だった

 

 完全に余談だけど、こうやって先行制圧系のデッキを使ってるとガンダムウォーでいやがらせとしか思えないことをやってたのを思い出す。「青中速(?)」のデッキだったんだけど、「ガンダム(ハイパー・ハンマー装備)」や「リック・ディアス(アムロ・レイ機)」で相手の攻撃を妨害しつつ「エースの奮闘」でひたすら回復し、攻撃はしないで相手が本国をゼロにするのを待つ……いま思うと遅延行為以外の何物でもない。そんなんだから弟も対戦してくれなくなったんだよなあ……。

 

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 勝てると脳内麻薬出るほど楽しくて負けると歯ぎしりするほど悔しいのは良いゲームの証拠だと思う。【エンディミオン】に助けられて、どうにか三期連続でプラチナまでは上がれている。作った二デッキを回しつつ、三国志に思春期を捧げた身として、次は【戦華】を作ろうとジェムとCPをかき集める毎日を楽しく過ごしている。

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三国志モチーフのテーマ。いまから回すのが楽しみ

 

 

 最後に天敵の紹介。

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どうして手札が減らないの……

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召喚封じられるとなんにもできねえ……

 お願いします。ほんとう、贅沢は言いません。【エンディミオン】だって先行制圧してるわけで、同じ穴の狢というのは重々承知していますから禁止しろなんて言いません。ただ、いくらなんでも対抗手段が無さすぎます。お願いですから、ターン制限か種類の制限を付けるエラッタを……ほんとう、お願いしますから……。

*1:いまは亡きガンダムTCG

*2:けど、もうちょっとエクストラモンスターゾーンのことはちゃんと説明してほしい。EXデッキからモンスターをペンデュラム召喚するときのルールとか理解するのにかなり時間がかかった

*3:というか先行制圧系の基本?

*4:ならないやつは瞬殺された

*5:最初は《魔力統轄》を《魔力掌握》で妥協していたけど事故率が違いすぎることが分かったのでなけなしのCPを突っ込んだ。《チキンレース》はURなので妥協して一枚しか入れてない

江面弘也『名馬を読む』[中国史書で言えば本紀。生涯戦績、繁殖成績、社会現象、特異な事績など]

 基礎資料として評判が良さそうだったので購入。ここでも書いたけど、おれはウマ娘から競馬(競走馬)に興味を持った人間で、ネットで競走馬のエピソードを調べたりするのが最近の楽しみだったんだけど、某所で「興味を持ってくれるのはいいけど、できればちゃんとした本で調べてほしい。元ネタまとめには噂話レベルのものがあったりするから」と言ってる人がいて、言われてみれば楽に手に入る情報に依存してしまっていたかもなあ……というわけで、手頃なボリュームだし評判もそれなりに良さそうなので、本書を手に取った。

 

 JRA顕彰馬を時系列順*1に取り上げるという構成で、顕彰馬を介して日本競馬の流れを知ることができる。特に戦前戦後の競走馬については大まかにバックボーンも語られていて、現代とのギャップという意味でも面白かった。中央競馬より地方競馬のほうが人気があるなんて時代があったんだ……とかそんなに頭数少なかったことるのか……とか。

 日本競馬史の入門書としてかなり良いんじゃないかな。ただし、名馬の伝記のような体裁の都合で説明が多いとは言えないから、ある程度の基礎知識は必要になる。重賞レースのおおよその時期や距離*2は把握していないと混乱するだろうし、ちょっと変わったところだと、「奇跡の血量」やエルコンドルパサーの配合は、(ウマ娘経由で得た)馬の血統について必要最低限の知識がなかったら、たぶん何を言っているのかサッパリわからなかったと思うけど……まあ、そこまで知識がない人はさすがにメインターゲット層じゃないか。

 発行当時未選出だったロードカナロアキタサンブラックを除く32頭の顕彰馬が各々10ページくらいで語られている。紙幅の都合で綿密な伝記とは言えないけど、顕彰馬たちがどんな「名馬」だったかを概ね知ることはできる。選出の理由も様々みたいで、生涯戦績では突出したものがないけど、特異な事績を挙げた馬や生涯成績よりも繁殖成績の優秀さを評価された馬、競馬という枠を超えた人気を獲得した馬など、一口に顕彰馬といってもいろいろなタイプがいる。

 個々のエピソードだとハイセイコーオグリキャップの比較(ハイセイコーブームの中の競馬人気と競馬ブームの中のオグリキャップ人気)や対照的な生涯を歩むことになったトウショウボーイテンポイントが印象的で、特にテンポイントはかなりキツイ最期なだけに読むのがつらいところもあった。著者の筆が乗っているのもたぶんテンポイントの記述だったと思う。

 調教師や馬主などの周縁のエピソードも盛り込まれている。馬をめぐっての人間関係もいろいろあるみたいで特に馬主と調教師の関係性は(良いにしろ悪いにしろ)馬の生涯に大きな影響を及ぼす。主役はもちろん馬だけど、周りの環境も重要。そういう周囲を含めたJRA公認の偉大な名馬たちのエピソード集ということで、中国の歴史書でいえば本紀に近い。そうなってくると列伝や世家なんかも読みたくなる。次はどのへんに手を出そうか……とりあえずはこのシリーズの二巻と三巻かな。

 

 あと、これは本当にどうでもいいことだけどカギ括弧を半角だけ下げてるのがちょっと気になった。カギ括弧を一字下げるか下げないかは時代によって流行があるみたいだけど、本書のように半角だけ下げてるのは初めて見る。競馬業界の習慣なのか、筆者の書き癖なのか、もっと別の理由なのか。

収録内容

《第1部 戦前―競馬の黎明期》

クモハタ
セントライト
クリフジ

《第2部 戦後―競馬の復興期》

トキツカゼ
トサミドリ
トキノミノル
メイヂヒカリ
ハクチカラ
セイユウ

《第3部 高度成長時代―競馬の大衆化》

コダマ
シンザン
スピードシンボリ
タケシバオー
グランドマーチス
ハイセイコー

《第4部 昭和50年代―競馬の成長期》

トウショウボーイ
テンポイント
マルゼンスキー
ミスターシービー
シンボリルドルフ
メジロラモーヌ

《第5部 バブルの余韻―日本馬のレベルアップ》

オグリキャップ
メジロマックイーン
トウカイテイオー
ナリタブライアン
タイキシャトル
エルコンドルパサー

《第6部 2000年代―世界の中の日本競馬》

テイエムオペラオー
ディープインパクト
ウオッカ
オルフェーヴル
ジェンティルドンナ

 

 

*1:顕彰馬に選出された順ではなく、馬の生年順

*2:特に天皇賞の春秋の区別

最近見た存在しない映画(2022年2月)

ゴーレム ハンドレッド・パワー(2280年、アメリカ、監督:アンシブル・ジョウント、100分)

 うーん……もうちょっと原作に寄ったテンションで作っても良かったんじゃないかな。出来が悪いわけではないけど、画面が暗くて観にくくて、それなりに尺をとった割にべスターらしいテンポ感というか、目くるめく展開をこれでもかと叩きつけられる快感が薄かったような気がする。それが気になって序盤はあんまり集中して観れなかった。

 ガフ語の再現をはじめセリフ周りは素晴らしく、特にプリスはほぼ完璧だったと思う。おれは吹き替えで観たけど、声優まで完璧で、まさに想像していた通りのプリス。絶妙には腹が立つところが本当に素晴らしい。序盤は画面の暗さが気になったけど、終盤の怒涛の展開はそれを忘れさせてくれるくらいの出来だった。

 原作の魅力の一つであるタイポグラフィもほどよく映像的に表現されていた*1。ただ、終盤の言語の崩壊感は正直、吹き替えではピンとこなかった。あとで字幕で観なおしておきたい。

 本筋とはちょっとズレるけど時代が追い付いてしまったけど、いまもおれたちはこうして昔とたいして変わらない言葉を使っている、と考えるとちょっと感慨深いところがある。

《印象的なシーン》蜜蜂レディの降霊術

 

 

珈琲ハウスへようこそ(2003年、日本、監督:米田星乃、65分)

 上手い。巧く、そして美味い。序盤できっちりドキュメンタリーに見せかける手法はほぼ天才的で、前情報なしで鑑賞した人間は例外なく8分47秒を経過したところであっけにとられるはずだ。清々しいほどのトンデモB級SF映画で、なんでもコーヒーの忌避作用に着想を得てこんな映画を作ったらしい。凄えや、良い意味でイカれてる。

 そしてこんなに荒唐無稽な物語なのに描写がとても丁寧で、とても手が込んでいる。街並みの色合いや登場人物たちの表情はどれも妥協なく作り上げられていて、その中でも特筆すべきは食べ物だ。特に珈琲は別格で、揺蕩う白い湯気、深い色の液体、口の中へ滑り落ちていく様、そのすべてがあまりにも素晴らしい。モキュメンタリーとして半ば観客を騙して、面白おバカ映画を見せているわけだけど、一周回って珈琲の販促にもなっているところが(狙ってやっているのなら)あまりのも巧い。

《印象的なシーン》癌が日本人の死因として急増した理由を説明する教授

 

 

白猫姫(2025年、アメリカ、監督:ロブ・フィリップス、87分)

 こんな作品もあるのか!

 海外のアニメはディズニー系くらいしか観たことがないからあまり比較はできないけど、かなりレベルが高い作品だと思う。アメリカアニメにしては珍しく(?)非CGアニメで、当然のようにフルアニメーションなのだけど、動きはもちろんのこと、植物の質感表現が素晴らしく、猫たちの表情にあれほど個性が出せるのも驚きだった。ただ、新興の会社というのもあるのかもしれないけど、報酬のことでスタッフともめているらしくて、それが(内容とは無関係とはいえ)ちょっと残念。

 原作の「白い猫」をSFにアレンジしてあるわけだけど、どちらかというとフレドリック・ブラウンのいうSFの定義*2みたいな方向というか、そんなに無理に科学的に考察しているわけでもなく、気軽に観ることができる。まあ、単に換骨奪胎しただけ、とも言えるけど。

 ラストシーンについてはちょっと賛否があるみたいだけど、おれはそんなに悪くなかったと思う。そりゃあ、原作通りのストレートな終わり方ではなかったけど、大枠では原作をなぞっているわけだし、間違っていもいないはずだ。少なくとも90分もの時間を無駄にするようなものではない。

《印象的なシーン》王子が再び現れたことを告げられた白猫姫の表情。

 

 

歩道橋の上から見た光景(2011年、日本、監督:真崎有智夫、30分)

 シンプルな映画で、交番(現在)と歩道橋(過去)が交互に描かれることで緊迫感を作っている。セミの鳴き声、アスファルトから昇る熱気などによる真夏の暑さの描写が印象的。

《印象的なシーン》主人公の最後のセリフ。

*1:個人的には序盤の楽譜なんかはもう少し音楽的に表現しても良かったとは思う

*2:「ファンタジーは存在せぬもの、存在しえぬもののことを扱う。一方、SFは、存在しうるもの、いつの日か存在するようになるかもしれぬものを扱う。」フレドリック・ブラウン『天使と宇宙船』創元SF文庫、1965年、八頁

最近見た映画(2022年2月)

マーズ・アタック!(1996年、アメリカ、監督:ティム・バートン、106分)

 むかしテレビ放送されているのを親が観ていて、それを横目で観ていたことがあったんだけど、とあるシーン*1がトラウマになっていたせいで怖くてグロイ映画だと思い込んでいて中々手が出せなかった。いま観るとほかのB級映画より臓物や流血の描写が少ないこともあってむしろ正統派B級(と言うには演者が豪華だけど)な感じもする。もちろん毒気も強くて、特に宇宙船内で繰り広げられる悪趣味はけっこうきついところもある。絶妙にバランスが取れてる、というか絶妙にアンバランスというか。

 スラプスティックで割と気楽で楽しい(?)映画だった。ただ、もうちょっと相互不理解のシーンがあるのだと期待していた*2ので、その辺はちょっと残念だった。火星人の皆さん、ちゃんと言葉を理解してやってたのね。

 本国ではかなり評判が悪いみたいだけど、やっぱりハリウッド映画を茶化しているようなところがあるし、アメリカを風刺しているようなところもあるから仕方ないのかもしれない。そういう意味では外国人のほうが気楽に観れて良いのだろう。

《印象的なシーン》「逃げないで。我々は友達」

 

 

ヘレディタリー/継承(2018年、アメリカ、監督:アリ・アスター、127分)

「ミッドサマー」の感想を漁っているときに「ホラー作品としてなら前作のほうがずっとよくできていた」みたいなのがあって、気になったので視聴。

 確かにこっちのほうが百倍くらい怖かった。そもそも「ミッドサマー」の怖さって正統派じゃないところがあるから比較するのも違う気がする。「ヘレディタリー」はかなり正統派のホラー作品でゴア描写がきつく、心情描写は辛く、展開にハラハラさせられ、ちゃんと怖い。

 後発の「ミッドサマー」と共通するモチーフがあるのもちょっと興味深い。あとゴアシーンは少ないけどかなり強烈なこと、女優の人の表情がすごいのも共通*3

 完全な善は存在しない。母親も、息子も、そして父親も少しずつ間違っていて、悪いところがある。けれど、善の反対に限りなく近いものは存在する。だから現実味とフィクション感のバランスが良くて、終盤に怖さが爆発するんだと思う。

《印象的なシーン》終盤、目を覚ましたら後ろに何かいる場面。

 

 

透明人間(2020年、アメリカ/オーストラリア、監督:リー・ワネル、124分)

 かなり古典的なテーマというのもあるだろうけど「この描写ならオチはAかBのどちらかだろうなあ」と考えてたら、実際そのB*4の方だった。個人的にはAの方が面白かったと思うけど、それは「透明人間」じゃなくなるからなあ……。

 とてもシンプルな筋書きな映画で、だからいい作品だったと思う反面、この明快さで二時間はちょっと長すぎる気もする。特に無意味なシーンがあったわけではないから不満があるというほどではないけど、もうちょっと二転三転する展開が欲しかったなあ、というのが本音。後半の雨の中の追跡はSF的な対応で面白い。

《印象的なシーン》精神病院での自殺未遂シーン。

 

 

ディアボロス/悪魔の扉(1997年、アメリカ、監督:テイラー・ハックフォード、144分)

 アル・パチーノって凄えや*5……。

 法廷ものの作品はほかに「SUITS/スーツ」を途中まで観ていたくらいだから、こういう作品でも法廷シーンを新鮮に観ることができた。もちろん、主題はたぶんそういうことではなくてもっと道徳的なものだったんだろうけど。こういうシーンをよく見かけるけど、アメリカの裁判ってあんなにドラマチックなのかね。いや、さすがにそんなわけないか。

 仕事か家庭か、みたいな話って一時期の日本だけのことだと思ってたからちょっと意外だった。感想を漁ってみると終盤の展開に白けたという意見も多くて、まあわからなくはない。おれも純法廷ものと思ってたし。個人的にああいう要素は割と好きだし、前振りの各種描写もキッチリしていて良かったと思うけど、どちらかというとキリスト教的な説教っぽさがちょっとなあ。単なるアレルギー反応かもしれないけど、なんとなく原始回帰*6っぽい匂いがして嫌だった。あと、やっぱり異形に見えたやつらはヒトじゃなかったのかな。

 このテーマ、この展開、このオチで二時間超はちょっと長すぎる。特にタイトルと序盤の展開でどういう物語の筋なのかおおよそ見当がつくわけだし、もうちょっと短いほうが「ちょっと観てみようかな」とか「せっかくだし観なおそうかな」と思えるんじゃないかな……。

《印象的なシーン》「はじめまして」

 

 

良いビジネス(2017年、アイルランド、監督:レイ・サリヴァン、5分)

 大長編映画の導入部分を抽出しました、って感じの作品。CGのレベルは高いし話の筋も簡潔だからストレスなく観ることができる。ラストの文字もそれなりに皮肉が効いている。二時間映画であのオチだったら怒るかもしれないけど、そこは短編映画の良いところだ。

《印象的なシーン》唾を吐く異星人。

良いビジネス

良いビジネス

  • Darryl Kinsella
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*1:あのシーンマイケル・J・フォックスだったのか……。

*2:降伏したくて白旗上げたら相手の文化圏では徹底抗戦の意味だった、みたいなやつ

*3:中盤で息子を罵るシーンは圧巻の一言。慟哭もほかの映画のどのシーンより真に迫っていた。

*4:正確にはB+αだったけど、おおまかにはBだった

*5:特に終盤の顔

*6:古き良き社会に戻りましょう的な