楽曲のタイトルってけっこうアーティストによって傾向があるっていうか、やっぱりある種の癖みたいなものがでるなって思う。文章系にするか単語にするか、単語にするにしても日本語にするか英語表記にするか。日本語にするなら漢字でまとめるかカタカナにするかそれともひらがなに開くか、みたいな。どういう過程でタイトルが決まるのかわからないけど、やっぱり歌詞の内容と同じくらい個性が出て面白いなあと思う。
というわけで自分のスマホに入っている音楽でタイトル縛りのプレイリストを作ってみた。ルールはこんな感じ。
1.プレイリストは全十五曲
2.プレイリストごとに一アーティストは一曲のみ
3.句読点も曲名に含める(例:Cocco「首。」は漢字一文字には含めない)
4.括弧内にルビを入れている場合は曲名に含めない(例:中島みゆき「宙船(そらふね)」は漢字二文字でカウント)
5.ボーカルが同じ場合は同一アーティストとしてカウント(例:椎名林檎と東京事変)
全曲ちゃんと聴いてるのポルノグラフィティだけというレベルの人間だからどうしてもコメントが浅くなってしまった。申し訳ない。椎名林檎ならこれだろ! とか中島みゆきならこれだろ! というのがあったらぜひプレイリストを作って見せてほしい。割と切実に見てみたい。
[漢字一文字]
①傘(King Gnu)
②涙(KANA-BOON)
③窓(黒木渚)
④扉(THE BACK HORN)
⑤蛍(鬼束ちひろ)
⑥茎(椎名林檎)
⑦渦(ポルノグラフィティ)
⑧楯(倉橋ヨエコ)
⑨潮(サカナクション)
⑩雫(スキマスイッチ)
⑪蝉(LUNKHEAD)
⑫糸(中島みゆき)
⑬街(米津玄師)
⑭罠(シド)
⑮鯨(Buzy)
やっぱりKing Gnu「傘」が強烈で、まずド頭に置くことを決めて、それから最後に印象的なタイトルのBuzy「鯨」を置いて順番を考えた。
黒木渚「窓」や米津玄師「街」はこうやってじっくり聴くとグッときて、しばらくリピートして聴いたりした。あと中島みゆき「水」も「糸」と競合しなければ……。
ポルノグラフィティは競合曲が「狼」と「煙」でかなり悩んだけど、全体の雰囲気としてもやっぱり「渦」かなということで採用。
分類してみると無機物が五曲(傘、窓、扉、楯、糸)動植物が四曲(蛍、茎、蝉、鯨)水系が四曲(涙、渦、潮、雫)概念?が二曲(街、罠)で、けっこうまとまった傾向があった。選外に漏れた曲も含めて水関係のタイトルが多いのは一文字で意味を圧縮しやすいからかな。空関係は鳥、空、雲なんかがパッと思いつくけど、どれも単体じゃなくて前後に言葉を付けて楽曲になるイメージがある(松任谷由実「ひこうき雲」ゴスペラーズ「青い鳥」)し、単漢字で曲名にできそうな言葉も少ないような気がする(梟とか鳩とか烏?)。単におれのスマホにそういう曲がはいってなかっただけのことかもしれないけど。
[漢字二文字]
①宙船(中島みゆき)
②蝙蝠(ポルノグラフィティ)
③遭難(東京事変)
④枕詞(黒木渚)
⑤感電(米津玄師)
⑥宿命(Official髭男dism)
⑦流星(ムック)
⑧合鍵(シド)
⑨月光(鬼束ちひろ)
⑩奇跡(THE BACK HORN)
⑫夏色(Cocco)
⑬体温(LUNKHEAD)
⑭白日(King Gnu)
⑮哀歌(平井堅)
二文字はやっぱり鬼束ちひろ「月光」とLUNKHEAD「体温」黒木渚「枕詞」。初めて聴いたときからずっと好きで、この三曲は問答無用で採用。中島みゆきは「誕生」と悩んだけど、個人的にハイテンポな曲のほうが好きなのと、平井堅「哀歌」とルビ繋がりで頭と尻尾に置くと面白いかなということで「宙船」を採用。ポルノグラフィティは「鉄槌」「空蝉」「海月」「一雫」と役者揃いだったけど、さすがに「蝙蝠」には勝てないかな。
分類は難しい。語学に詳しい人ならできるのかもしれないけど、おれではちょっと無理。個人的に意外だったのが、後ろに「する」を付けると動詞になるタイプの言葉(遭難、感電、接触)が思ってたより少かったこと。白熱とか意図とか機能とかもっとたくさんあるようなイメージだったけど、Uta-Net(https://www.uta-net.com/)で調べてもほとんどヒットしなかった。ちなみに今回採用した曲名のうちUta-Netで多くヒットした上位三曲は「流星」(55曲)「月光」(38曲)「奇跡」(36曲)だった*1。動詞にならないタイプの名詞のほうがタイトルにしやすいみたいだ。
[漢字三文字]
①輪舞曲(松任谷由実)
③新機軸(空想委員会)
④大予言(黒木渚)
⑤乗車権(BUMP OF CHIKEN)
⑦日和姫(椎名林檎)
⑧処方箋(倉橋ヨエコ)
⑨発明家(Official髭男dism)
⑩未完成(中島みゆき)
⑪紫陽花(シド)
⑬一番星(KANA-BOON)
⑭再上映(米津玄師)
⑮逃避行(フレデリック)
松任谷由実「輪舞曲」からのKing Gnu「飛行艇」がすごく気持ち良くて我ながら会心の選択だと思う。BUMP OF CHIKENは「天体観測」「K」「ラフメイカー」のイメージが強くて、棘が無くて優しい曲ばかり(Official髭男dismもそう思われてたらしい)だと思い込んでいた。だから「乗車権」には驚いたし、他の曲もちゃんと聴いてみようと思うきっかけになった。ちなみにポルノグラフィティに三文字の曲はなかった。カップリング辺りでぜひ出してもらいたい。
三文字熟語の特性なんだろうけど、二字熟語の頭か尻尾に一文字つけているタイプ(乗車「権」や「再」上映)がほとんどで、二字熟語に分解できないのは百日紅、紫陽花、嵐ヶ丘だけだった。……いや、百日「紅」紫陽「花」だから嵐ヶ丘だけなのか? ここまでくると国語の問題だけど、一文字+二字熟語ではないタイトルってほかにどんなのがあるんだろう。小説や映画を含めてもあまり思いつかない*2。ただ、そういう意味では一文字や二文字よりずっと曲のタイトルにしやすい文字数だと思う。
以上。
自分はあんまりちゃんとした音楽ファンではなくてアルバムも有名な曲とか好きな曲だけ聴いてあとは飛ばすことが多かった。やっぱりそういうの良くないよなと思っていたけど、こうやって抽出してみるとそういう曲もじっくり聴くことができて、いくつか発見もあったりした。やっぱりたまにはランダム再生とかで(狭い趣味の範疇でも)広く聴いてみるべきなんだろうなあ。
広く音楽を聴いているわけではないからアーティストの重複が酷い。数えてみたらアルバムを二枚以上入れているアーティストは30しかいなくて、そりゃあ重なるわな。そんな人間が音楽について語れることなんてほとんどない。だから、広くいろいろな音楽を聴いてる識者のプレイリストが見てみたい。もっと音楽を聴いている人の、更にイカれたプレイリストも見たい。アルファベット一文字(X JAPAN「X」とか?)とか漢字七文字(おれのスマホに入っているので最長はUNISON SQUARE GARDEN「静謐甘美秋暮抒情」の八文字だった)とか全く同じ曲名のプレイリスト(「流星」とか「さくら」とかならできるのかな)とか、一文字ずつ増えていくリストとか、特定のジャンルの用語限定とか(UNISON SQUARE GARDEN「天国と地獄」みたいなキリスト教用語等)。泣ける歌とかアニソン限定とか、そういう括りのプレイリストも面白いけど、たまにはそういう変わった縛りのプレイリストを見てみたい。