電羊倉庫

嘘をつく練習と雑文・感想など。ウェブサイト(https://electricsheepsf.web.fc2.com/index.htm)※「創作」タグの記事は全てフィクションです。

「続・ポルノグラフィティ」感想〔おったまげて我が目を疑い震えた〕

 弦楽器独奏全身打震。

 生声鼓膜幸甚。

 脳髄破裂。

 至福。

 

 福岡公演に現地参加、配信で最終公演に参加*1。配信では公式で歌詞が表示されたのはありがたかった。円盤でもオン/オフで実装してくれると個人的には嬉しいけど、やっぱり人によっては邪魔だったりするのかな。

 岡野昭仁さん*2の歌声と新藤晴一さん*3のギターを堪能した二時間だった。

 

M1. IT’S A NEW ERA

 もちろん絶対に演奏されるだろうとは思っていたけど一発目はちょっと意外だった。本当になんとなくなんだけどアンコール一曲目かなあ、と思っていた。

 現地では久方ぶりの爆音で耳があまり機能していなかったこともあって記憶があいまい*4だけど最初の一音が鳴った瞬間の高揚感だけはハッキリと覚えている。配信ではファンクラブ限定特典映像「テーマソングのはじまり」の流れでかなり良いテンションで聴くことができた。最近の楽曲にしてはかなり英語の歌詞が少なく日本語の濃度が高いだけに歌詞が表示される恩恵が大きく、そういう意味では今回のライブでもっとも好感度が上がった曲。シングルで聴いたときはどうしても同カップリングの「REUNION」に気をとられていたから印象が薄かったけど、こうやって聴くとやっぱりいい歌詞だ。

 

M2. 幸せについて本気出して考えてみた

 これもちょっと意外だった。「UNFADED」で披露されているし、それほどライブの定番曲でもないからこんなに短いスパンで再演されると思っていなかった。やっぱりこのご時世だからということもあるのかなと思う。〈時々はその「それなり」さえも誉めてほしい〉という歌詞も、おれが歳を取ったからというのもあるだろうけど、この時代では特に刺さる人も多かったはずだ。

 

M3. ドリーマー

 ソフトには未収録のかなりレアな曲。根強い人気があるイメージだったからちょっと意外だった。

 こうやってライブで聴いてみるとコメディと切実さのバランスが良くて、微笑ましくもちょっとだけ前向きになれる。

 

M4. ANGRY BIRD

 近年楽曲の中でも割と披露回数が多くファンの間でも評価が高い一曲。生演奏で聴くとロック感がより強化されて気持ちがいい。

 現地ではライトがちかちかして爆音や昂るハイテンションと相まってちょっとくらくらした。もちろん、それを含めて「ああライブに来たんだ、音を浴びに来れたんだ」と如実に感じることができた一曲でもある。

 

M5. 今宵、月が見えずとも(最終公演)
M5.Love,too Death,too

 現地で「Love,too Death,too」が流れた瞬間ガッツポーズした。ここでもちょっと書いたけど思い入れのある曲でいつかライブで聴きたいとずっと思っていた。

 それだけに最終公演が「今宵、月が見えずとも」で一瞬だけがっかりしたけど、すぐにそんな気持ちが頭から吹っ飛ぶくらい楽しかった。いつもながらロングトーンの伸びがえげつなく、ギターソロもカッコイイ。

 

M6. Free and Freedom(最終公演)
M6.ウォーカー

 現地での「ウォーカー」が流れてすごくホッとしたことを覚えている。前五曲が割と高カロリーで腕もちょっと死にかけてたからゆったり落ち着いて聞けるのが嬉しかった。

 配信での「Free and Freedom」は思わず叫んでしまった。初めて家に来た*5シングル「ジョバイロ/DON'T CALL ME CRAZY」のカップリング曲ということで個人的に思い入れがあって、まさか演奏されるなんて思っていなかっただけにものすごくうれしかった。CD音源よりも冒頭の〈I'm an innocent gipsy〉をよりしっかりと発音していたり、と英詞の発音の違いが楽しめる。あと〈ハイヒール〉の語尾を上げる感じが好き。アウトロのピアノも良い。

 

M7. Love,too Death,too(最終公演)
M7.君の愛読書がケルアックだった件

 脳がバグってるからキチンと思い出せないけど「君の愛読書がケルアックだった件」も「Love,too Death,too」みたいにアウトロにギターソロが入ってたっけ? もしそうだとしたら思い出せないのが痛恨すぎる。そのくらい「Love,too Death,too」のギターが素晴らしかった。何がいいのか表現する言葉はないけれどとにかく好き。ライトの演出もカッコイイ。もし可能なら公式でYouTubeに……というは流石に贅沢が過ぎるか。

 

M8. ミステーロ(アコースティック)

 近年の晴一意味深不可思議ソングの代表選手でファン人気も高い。アコースティックという言葉の意味はよくわからないけど数あるライブアレンジの中でも特に好きなタイプだった。

 

M9. サウダージ(アコースティック)

 このライブの目玉の一つ。MCでも言っていたけど最終公演で五階のひとたちは聴こえていたのかな。配信にはバッチリ音が乗っていてマイクを通さない生声を堪能できた。

 現地で聴いたときには心が震えた。席も中段だったこともあり冒頭の生声がハッキリと聞き取れた。演劇系を現場で見たことはないけど、オペラが好きな人の気持ちがちょっとわかったような気がする。

 

M10. 鉄槌

 マジか。比較的少ない晴一の暗い歌詞の中でもかなり好きな曲だけど、やっぱりややマイナーだし暗い曲はライブで披露される回数がかなり限られるから現地で聴けるとは思ってなかった。演出も格好良くて赤いライトはたぶん脱獄者を捜索をイメージしているのだと思う。

 そしてギターソロ。スゲエカッコイイ。最近は昭仁弾き語り→晴一ギターインスト曲の流れが多くて、それはそれで大好きだけど、それこそ「神VS神」のときの「Twilight,トワイライト」みたいに重厚な曲でのギターソロアレンジが悶えるほどたまらない。自分の感性が多数派かは分からないけど、ぜひ、今後もこの手の曲でアレンジを入れてほしい。

 

M11. Fade away

 もしかしてセットリストおれが考えたのか? 一番好きな晴一暗黒ソングからドン底ネガティブ昭仁ソングが聴けるなんて、大袈裟な言い方になるけど夢みたいだった。曲のテーマ的に難しいかもしれないけどこれからも定期的に披露され続けてほしい一曲。

 

M12. 元素L

 個人視点に降りてきた新藤晴一の詩情が炸裂する曲。とても可愛い恋愛の歌で「Fade away」との落差がすごい。弾き語りからのバンドメンバー参加の流れが美しい。

 

M13. Winding Road

 個人的には歌詞を見ながら聴きたい曲の一つだったから配信での恩恵が大きかった。「元素L」のあとにこれを演奏するというのはちょっと意味深な感じがしなくもない。「始まりと終わり」もしくは「子供と大人」の対比なのかな、なんて思ったりした。

 

M14. THE DAY

 おお、ここでこれか。後半にこんな高カロリーな曲をもってきてもキチンと歌い上げるのは流石の一言。咽喉の筋肉は全てを解決する。いつもながら素晴らしい。

 

M15. REUNION

 直近のライブ「REUNION」で披露したばかりということで「聴きたいけど演奏しないだろうなあ」と思っていた曲だっただけに嬉しかった。ライブ版から増強された意味深な言葉を堪能できた。ラストの「ウォオーオーオ」も健在。

 

M16. メリッサ

 定番曲だけに安定して良かった。この終盤であのロングトーンはヤバいでしょう。どんな咽喉しているんだ。凄え。

 

M17. ハネウマライダー

 現地参加しときに「えっ、マジでやるの?」と驚いた。たしかに事前アナウンスで「タオルは振るな」とは言ってなかったけど、まわしていいかどうかがわからなかったからやらないものだと思い込んでいた。定番中の定番を、不完全ながらもキチンと楽しめた。これをやってこそのライブですわ。

 

M18. テーマソング

 やっぱり本編ラストはこれですね。

 あまりコールアンドレスポンスや客に歌わせるパートは好きじゃないけど、やっぱりこんなご時世になってくると、この歌や「アゲハ蝶」「ライラ」なんかを現地で一体になって歌える日が待ち遠しくなる。そういう意味では「テーマソング」がどんな風に仕上がっていくのかとても楽しみだ。

 

EN01. メビウス(仮)

 現地でおったまげた。えっ、いま「首を絞める」って言ったよね!?えっ、「はずかしい?許してほしい……?」えっ、怖ッ……。

 で、配信で公式に歌詞付きで聴いて我が目を疑った。ひらがな! マジか。最初は字幕のミスかと思ったけど〈人ぎょう〉なんて開き方をしていたから意図的なのは間違いない。

 なにをモチーフにしているんだろう……ちょっとセンシティブな表現になるけど「漢字を書けないような弱い立場の人」の不実な愛の結末っぽく見える。ある意味では「ネオメロドラマティック」のバッドエンド版みたいな、そういう歌詞。

 ……けどちょっと違うんじゃないかなと思い始めた。実は「子供がぬいぐるみとお別れする場面をぬいぐるみから見ている」歌詞なんじゃないかな。歌詞がひらがななのはそのまま視点が子供向けのぬいぐるみだから。小さな子供が大きな人形に抱き着いているのって首根っこを絞めているように見えるし、「萎んだ肺のままでいいの」というのも抱きしめると音が鳴るタイプのぬいぐるみが壊れて鳴らなくなったことの比喩表現だ。泣きじゃくって別れを悲しむ子供に向けたぬいぐるみの悲しみと思いやりの歌。……というのが現状もっとも穏当な解釈だと思う。

 言葉のチョイスや題材は晴一っぽい気がするけど、〈もうめぐらせなくてもいいの〉なんかは「ROLL」〈めぐりめぐる〉「海月」〈輪廻転生の〉「メリーゴーラウンド」〈壊れても回り続けるメリーゴーランド〉と、どちらかというと昭仁っぽくて判断がつかない。どっちの作詞なのかいまから楽しみで仕方ない。

 

EN02. ナンバー(仮)(最終公演)

 なんともう一つ新曲! やったぜ! 

 なんとなく7thアルバム「ポルノグラフィティ」っぽい曲だなあと思った。「農夫と赤いスカーフ」を連想したからかな。〈シルシとしての田園〉≒理想化された故郷ということかな。広がる風景やモチーフは絵本の世界のようで温かみがあるけど、なんとなく不穏な感じもする。〈数えるのではなく満ちる/欠けるのを知っているの〉という歌詞は正確な時計が存在しなかったころの農民たちの時節の感覚を表現していて、これは時間に無頓着で日が昇り落ちることだけ理解していた子供時代の時間感覚と重なる。あの頃と今、そしてもう存在しない田園と現在の対比が読み取れる……かな?

 少年時代のノスタルジーにどこか寂しさや哀しさを乗せているところは昭仁っぽい気がするけど、やっぱり全体のモチーフや表現は晴一っぽい気がする。どっちなのかやっぱり楽しみだ。

 

EN03. ジレンマ

 アンコールラストはいつもの定番曲。最近は割と「ライラ」なんかがよく演奏されていたけど、声が出せないご時世ということもあって「ジレンマ」に回帰しているのだろう。

 いつものように楽しかった。「ライラ」も好きでアンコール曲として定着してほしいけど、やっぱりカッコイイ曲で締めてほしいという気持ちもある。ソロパートは特にtasukuさんの「ジングルベル」皆川真人さんの「Hard Days,Holy Night」が印象に残っている。

 

 

―――

 いまは「メビウス」に顳顬を撃ち抜かれそこから脳がとろとろ流れ落ちていて碌にモノを考えられないので、この辺でアーカイブを周回するお仕事に戻ります。

 

 

 

*1:なので唯一「LiAR」は聴けていない。すごく好きな曲だから聴きたかった……けど競合が「今宵、月が見えずとも」「Love,too Death,too」なら仕方ないか。

*2:以下敬称略

*3:以下敬称略

*4:M5あたりまではそんな感じだった

*5:母が買ってきた