電羊倉庫

嘘をつく練習と雑文・感想など。ウェブサイト(https://electricsheepsf.web.fc2.com/index.htm)※「創作」タグの記事は全てフィクションです。

ロジャー・ゼラズニイ『地獄のハイウェイ』[単純明快な娯楽作品。やっぱりロードノベルが好き]

 最近、比較的文学よりの小説だったり内宇宙に潜ったりスペキュレイティブなフィクションだったりする作品ばかり読んでいて、もちろんそういう作品が好きなんだけど、さすがにちょっと疲れてきた。もうちょっと気楽に読める単純明快な小説が読みたくいなあ……ということならこれでしょう、ということで再読。

 昔はゼラズニイらしい華麗な文体による濃厚な描写とは無縁な小説だな、なんて思ったけど、改めて読んでみると例えばP94-98の描写は流石だし、終盤の疲労困憊で目的地にたどり着くシーンも素晴らしい。わりと会話文が主体で読みやすいけど、そういう地の文の描写が効いていて軽すぎず重すぎない良い作品になっている。

 ただ、P248-252のブラディのシーンはよくわからない。天国(地獄?)の比喩表現とか? もしくはもっとイメージ先行の深い意味のないシーンなのかも。個人的にはソルトレーク大統領に打って変わって丁寧な態度をとるシーンが好き。悪い奴がある程度礼儀をわきまえた態度をとれるって設定は(頭が良くて、切り替えられるってニュアンスで)好きだ。あと全編を通してわりと子供には優しいところも、そりゃあ藤田和日郎先生も気に入るはずだ。

 

 

 

ーーーー

 やっぱりロードノベルっていいなあ。ロードノベル/ロードムービーが好きなのはたぶんガンダムのせいだろうから、集団で旅をするほうが好きだけど、こういう一人(多くて三人まで)の旅も好きなんだなあ。手を出そうかずっと悩んでたけどケルアック『オン・ザ・ロード』も好きなんじゃないかなと思っている。手を出すべきだよなあ、ポルノグラフィティの曲のタイトルにも取り上げられているしなあ……。