電羊倉庫

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最近見た映画(2022年1月)

コマンドー(1985年、アメリカ、監督:マーク・L・レスター、90分)

 筋肉シュワちゃん銃声爆発アクション爽快感MAX娯楽映画。

 もちろん有名作品だから*1出てくる名台詞(?)とかおおよその展開とかは知っていたけど通してみたことはなかった。かなり前から観たいと思っていたんだけど……というのも、やっぱりこの作品は吹き替えで観くて、なのに各種レンタルでは字幕しかないし、なら購入するかと思ったら吹き替えがついているのは特装豪華版みたいな感じのやつしかなかった。貧乏人のおれにはちょっと敷居高すぎる。けど気になるなあ……うーん……と思ってたら吹き替えが収録された廉価版を見つけたので購入し、ようやく観ることができた。

 内容は一段の表現がすべて。それ以上ではありえないけど、絶対にそれ以下ではない。想像していたものが想像通りに出てくる。娯楽の原点、なんて表現は大げさだけど、そのくらい楽しい映画。そりゃあ、本国でも日本でも人気が出るよなあ。

《印象的なシーン》「容疑者は男性、190cm、髪は茶、筋肉モリモリマッチョマンの変態だ」

 

 

カルト(2013年、日本、監督:白石晃士、84分)

 思ってたのと違うけど、これはこれでとても面白いけど、それはそうとしてその最後はどうなの。

 いわゆる正統派のホラー作品ではないけど、それを序盤できっちり教えてくれるのはありがたい。さすがに霊能力者があのビジュアルで出てきてしかもちゃんとした霊能力者と分かった時点で正統派ホラーと思う人はいないはずだ。

 モキュメンタリーみたいな感じで始まり、徐々に事態がエスカレート、そして解決へと向かうかと思いきや意外な展開に……と、娯楽としてはとてもレベルが高くて第一印象はちょっと悪かったけど、視聴をやめなくて良かったなあ、と思えるくらいにはいい作品だった。もちろんCGはハイレベルとはいえず、すごく迫力があるわけではないけど、その辺は副次的というか、たぶん制作的にもそんなに力を入れているところではないと思う。細かい前振りも効いているし、ちょっとフィクション係数高めだけど、そうとわかれば自分の中のフィクション度*2を調整するだけのこと。

 というわけで面白かったけど、もっとこう……最後はもうちょっと決着というか、もしそれが不可能ならすぐに直接の続編を作るとかしてほしかったなあ。特にネオはキャラが立っていただけに後半からの出番だけなんてちょっともったいない。

 感想を見に行ったらオカルトマニアの間では呪術的な設定が凝っていて評価が高いらしい。なるほど、そういう見方もあるのかあ。

《印象的なシーン》初登場シーンで机に座っているネオ。

 

 

道化死てるぜ!(2012年、アイルランド、監督:コナー・マクマーン、86分)

 すげえタイトル。もうこれだけで面白い。

 内容は単純明快B級スプラッタホラー。職業道化師が復讐に蘇るのだけど、この道化師も復讐される側の子供たちも絶妙に感情移入できないというか、完全無欠の被害者というわけではない(道化師もあれは事故だったわけで、しかも相手は幼少の子供だったのだから恨むのはちょっと違う気がする)から、だれが惨殺されてもそんなに悲しい気持ちにもならずに、創意工夫に満ちた道化師殺人術を楽しむことができる。ゴア描写もレベルが高く、これもキチンとオーダー通りの料理が出てくるタイプの映画。

 ただ、変なところにぼかしをいれるのはどうなんだろう。最初はブラックジョークというかそういう意味でぼかしているのかと思ってたけど、どうやってもそう解釈できない中盤にまた変なぼかしが入っててちょっと興ざめした。あと終盤の謎の道化師行動縛りは一体なんだったんだ? 最初は藤田和日郎からくりサーカス』の自動人形たちに課せられた縛りと同じ奴だと思ったけど、別にそういうわけではなかった。……まあ、ちょっとしたコメディシーンで特に意味はなかったのかな。

《印象的なシーン》バルーンのように膨らんで破裂する頭。

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銀河ヒッチハイクガイド(2005年、イギリス、監督:ガース・ジェニングス、109分)

 原作が好きで、あの軽妙洒脱なユーモアをどう映像化したのかなと期待しながら視聴。

 おおよそ原作通りだったような気がするけど、映画はちょっと事態の進行がわかりにくかった気がする。ただ原作よりフォードがいいやつっぽくなってたのは個人的に好きで、ヴォゴン人のビジュアルもイメージ通りだった。気に入っているのは序盤のハイウェイ建設の下り。ちょっと似たようなことを体験しただけに余計に笑ってしまった。まあ、それも行政が悪いわけじゃない(ちゃんと法律に則っている)けど、もうちょっと告知の方法とか周知の努力をさあ……。

 ナレーションもいい。石黒版『銀河英雄伝説』もそうだけど、物語作品にあったナレーションは緊張感やユーモアを醸し出してくれる。

 SF者からはあまり評判がよくない映画だけど、原作のシニカルなユーモアはキチンと理解して作られているし、その辺が楽しみたい自分にはとてもあっていた。キャラクターの描写も好印象で、特にマーヴィンは良かったなあ。……身近には絶対にいてほしくないけど。

《印象的なシーン》42。

 

*1:主にネットで

*2:島本和彦吼えろペン 四集』小学館、2002年、P16