タイムカット(2024年、アメリカ、監督:ハナー・マクファーソン、91分)
ダイヤルアップ接続の音が懐かしい。そっか、2003年のパソコン事情ってこんな感じだったか……。一応生きていた時代がタイムトラベルの対象になっていることがなんだか感慨深かった。
序盤は「いったいどこに着地させるつもりなんだろう」とちょっと不安だったけど、思っていたよりはキッチリまとめてきたし後味も爽やかなものがあって良かった。ただ、もうちょっとマーダーホラーパートが多めだと嬉しかったかも。SF的な設定が詳細に語られるタイプの作品ではなかったけど、たぶん世界がある程度の修正力を発揮するという『STEINS;GATE』の世界線に近いタイプの世界だったのかな。
ただ、重要人物であるサマーがいまいち魅力的じゃなかったのがちょっと残念ではあった。普通の子だったといえばそうなんだけど、もうちょっと好感を抱けるようなシーンがあっても良かったんじゃないかな。いや、別に特段マイナスの要素があったわけじゃないんだけど、加点要素が乏しいのがなあ……。
《印象的なシーン》「眩くて強い何かが突然消えてしまうと、空間と時間に波紋が残るのだ」
レンフィールド(2023年、アメリカ、監督:クリス・マッケイ、93分)
小説の『吸血鬼ドラキュラ』のキャラクターを基に創った作品らしい。ドラキュラの物語を現代にアレンジした感じの作品っぽい。ホラーコメディに分類される作品で、序盤はポップに人が死んでいく感じも笑えて楽しかったけど、中盤からはややコメディ色が薄くなり、共依存からの脱却という現代的なテーマを交えたシリアス寄りのアクション作品となる。オチはホラーコメディらしく後味爽やかで楽しいのも良い。
個人的にはもうちょっとコメディ要素強めのほうが好みだけどこれはこれで良く出来ていたと思う。アクションはキレていたしラブストーリー要素も見ていて微笑ましかった。まあ、レンフィールド君の元の家族のことがひっかかるところではあったけど。
雰囲気もストーリーも尺もお手ごろなところに収まっている、とても良い意味で手軽な映画だった。
《印象的なシーン》「動けよ……」
来る(2018年、日本、監督:中島哲也、134分)
ジャンルとしては社会派ホラーに分類されるかな。夫婦間における子育ての意識の違いや所謂毒親の影響力といったことが中盤までのメインテーマになっている。ややホラーの文脈から外れた物語だけど、それなりに見ごたえがあった。ただ、この辺の家族や子育てといった方面の問題意識がラストに回収されていないような気がする。……いや、うわべを取り繕わずに子供を見捨てなかったから二人は生還できたと考えると回収されてはいるのか。もちろん、知紗の残忍なまでの無垢さを含めて。
序盤に提示された秀樹のエピソードがもっとストーリーに絡んでくると期待していたのだけど、秀樹の死とともにあっさりフェードアウトしたのはちょっと残念だった。あと、真琴がベランダで弾けたはずなのにどうして浴室にいたのか、野崎の気づきと怪奇現象の発生タイミングが合いすぎていることの不自然さ、等々ちょっとスッキリしないところもあった気がするけど、もしかしたら何か澪としていたのかもしれない。
なんだかおかしい気がするけど、ラストのお祓いオールスターの大スペククルが楽しすぎて正直どうでも良くなった。あのシーンだけでこの映画は観る価値がある。
《印象的なシーン》オムライスの国の夢。
ディック・ロングはなぜ死んだ(2020年、アメリカ、監督:ダニエル・シャイナート、100分)
ブラックコメディという触れ込みと印象的なタイトルに惹かれて見たんだけど……いやブラックではあったけどいうほどコメディだったか……?
セクシャルマイノリティを扱ったシリアスな映画とみることもできる。三人組への軽蔑の視線は警察機構にマイノリティが自然と溶け込んでいることとの対比と読めないわけではないとは思う。ただ、あれはそういう問題ではないような気もするし、そういうテーマが物語全体に掛かってきているわけでもない。だからもっと純粋にブラックコメディとしてみるのが良いと思うのだけど、そうなるとコメディというところに引っかかって……まあ、英語の駄洒落的な要素とか両サイドの絶妙な頭の悪さに由来するすれ違いなんかはなんとなく笑えはするけど、起きていることの深刻さを打ち消せるほどの笑いにはなっていないし、マイノリティ/マジョリティへの皮肉や諧謔として機能しているわけでもない。うーん……いや、出来が悪いとまではいかないけど期待していたものが出てこなくて肩透かしを食らったというのが正直なところ。
保安官はとっさについた嘘だと言っていたけど、たぶん本当にあったんだろうなあ。だから序盤から真相を暴くことをどこか渋っているような態度を見せていたのだろうし。
《印象的なシーン》ガソリンスタンドでの一幕。
ろうか(2025年、日本、監督:ぱん、3分)
シンプルなシチュエーションホラー。不穏を煽る音響が素晴らしい。特に0:38近辺のブーンという音が印象的。
《印象的なシーン》最後の顔。
ノック(2025年、日本、製作:未明シアター、2分)
怪談を素直に実写化したという趣の作品。音響が良い味を出している。やっぱりドアを開けたのがよくなかったのかな。
《印象的なシーン》「ここだよ」
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