電羊倉庫

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最近見た存在しない映画(2023年9月)

世界の果てまで何マイル?(1993年、アメリカ、監督:ウィリアムズ・クリスタルマン、103分)

 マジックリアリズムロードムービー。派手さはないけど、なんだかたまらなくなってくる。印象的なのは、やっぱりトーキング・マン。名に反して本当に一言も発することなく物語は幕を閉じるけど、ずっと挙動や微細な表情の変化で感情を伝えてくれる。そういう意味では役者の勝利なのかもしれない。

 現実と非現実の境目がかなり曖昧で、どこから異世界に迷い込んでいたのか初見では良く分からなかった。良質なディック的体験。全編を通してかなり穏やかでのんびりしている。賛否両論……といえるほどわかれてはないけど、間延びしていると批判する人も多くて、それもわからないではないけど、おれはこのなんとも緩やかな雰囲気が本当に好きだから批判している人の気持ちは正直あまりよくわからない。

 食い物が妙に美味しそう。特にコリー・バーは素晴らしくて、YouTubeで自作している人がいたからマネして作ってみようかなと思っている。

《印象的なシーン》終点を迎えた二人の表情。

 

 

閃(2026年、アメリカ、監督:ヘンリー・A・エクリプス、123分)

 メタバース的な電子上の空間で競馬のレースを執り行う、とそこまではそれほど変わった設定じゃないけど、そこに非現実空間ならではの条件を加えることでこの映画を賛否両論溢れるある種の傑作へと昇華させている……は、贔屓目にみても言い過ぎだけど、騎手と馬を同一人物がこなすという設定はかなり面白いものがあるし、レースの内容も現在主流の競争方式ではなくヒートレースと呼ばれる同一コースを同一場で複数回競走し先着回数によって優勝馬を決定するという形式で、実際に存在したものらしい。

 ストーリーも一応ちゃんとしたものがあるけど、重要なのはレース描写なので正直なところ人間ドラマの部分はどうでもいい。かなり過酷なレースで、三走目ともなると人馬共に疲労困憊を極めてもう見て居られない状況になる。タイトルから連想する一瞬の差し脚はほとんど存在しないけれど、これもある意味では眩く輝く一瞬の光なのかもしれない。異常なほどの疾走感や手に汗握る力強さは映画史に残るレベルだった。

 どこで読んだのか忘れたけど、競馬の面白さは「脳みそが二つあるのにエンジンが一つしかないところ」と言っている人がいた。蓋し名言だと思う。本作は騎手と馬は同一人物ではあるけど、ちゃんと分離している(思考リソースが分かれている)から名言に合致しているともいえるし、正確には脳は一つ(同一人物)なのだから不一致ともいえる。

《印象的なシーン》第二ヒートラスト二百メートルの激闘。

 

 

この夏、あなたのために華を(2000年、日本、監督:佐田敏思、133分)

 平野の伝統ある街を舞台に濃厚な人間ドラマが繰り広げられる。お家騒動に巻き込まれて集落を追放されていた竜田進は息子の康を郊外の有力者に託して自殺してしまい、康は名前を変えて健やかに育っていたけど、ひょんなことから街に呼び戻されて……とある種の貴種流離譚の色合いが強い。かなり登場人物が多いけど、結局は華を巡る物語で祖廟の所有権に収束するから、そこを意識できればかなり分かりやすくなると思う。

 個性的な人物が多数登場する。豊関翔は作中で「東の救いがたい愚か者」と評されて、まさにその通りの人間で暴虐の限りを尽くすのに死ぬぎりぎりまで人生を謳歌していたのには本当に腹が立った。早田光はそんなに悪い人間じゃないけど家族を含む周囲を制御できなかったことが後の悲劇につながっている。まさに忠賢を体現した人物のような高山進は「万歳は不味いから九千九百歳を唱えよう」ギャグみたいなことを真顔で言いだして裏ではとんでもないことをやっているし、あまりにも癖が強い十人十色だった。

 ちなみに祖廟はその時代の支配者によって姿を変えているらしく、二度三度観ると新しい発見があるかもしれない。

《印象的なシーン》棺を目前に執り行われる即位の儀式。

 

 

文字化け縺励※隱ュ縺ソ縺ォ縺いけど鬆張縺」縺ヲ(2022年、日本、監逹」?壽搗城慧、99分)

 言語SF映画という、SFという辺境の文学の中でもさらに辺境に位置する特殊なジャンルを題材にした映画ということで興行収入は苦戦した繧峨@縺。かなり実験的な手法が取り入れ縺ヲ縺?※隧戊ォ家界隈、迚ケ縺ォSF邉サの評論家には好評らし縺。最初は縺斐¥譎ョ通の異世逡後ヵ繧。繝ウタジーだったものが、なぜか蠕舌??↓險?闡峨′通じなくなっていて、最終逧?↓縺ッ菴輔b理解できなくなる。

 迴セ螳溷蓑螟ア縺ィ縺?≧諢丞袖縺ァはディック「この卑しい地上に」っぽいところがある。徐々に言葉が騾壹§縺ェ縺上↑縺」縺ヲ縺?¥諱先?悶?√→縺?≧諢丞袖縺ァ縺ッ繝悶Λ繝ドベリ「雷のよ縺?↑髻ウ縲阪↓霑代>……と記憶していて読みかえしたけどそれほどでもなかった。文語だけじゃなくて口語も螟牙喧縺励※縺?◆豌励′縺励※縺?◆縺代←記憶違いだった。縺。縺ェ縺ソ縺ォ蜑オ菴懆ィ?隱槭r逕ィ縺?◆菴懷刀縺ェ繧Fafs F. Sashimi『異世界語入門 〜転生したけど日本語が通じなかった〜』が逋ス逵峨?遘?菴懊i縺励>縲ゅ♀繧後?譛ェ隱ュ縺?縺九i繧上°繧峨↑縺?¢縺ゥ縲√⊇縺ィ繧薙←縺ョ蝣エ謇?縺ァ隍偵a繧峨l縺ヲ縺?k縲

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《印象的なシーン》螳滄ィ鍋噪縺ォ繧?▲縺ヲ縺ソ縺セ縺励◆縺代←縲√∩縺ェ縺輔s縺ゥ縺??昴>縺セ縺呻シ

 

 

雪景色(1989年、日本、監督:真崎有智夫、19分)

 わりとちゃんと起承転結があるし、コンパクトにきちんと纏まっている。寒さの描写はイマイチだけど、そこに目を瞑ればいい作品なんじゃないかな。不気味なような寂しいような温かいようなラストシーンが印象深い。

《印象的なシーン》二つ並んだ雪だるま。