2024-01-01から1年間の記事一覧
ディックの普通小説。SF/ファンタジー的な現象はまったく起きない主流文学小説で、事実上の処女作というべき作品らしい。正直、あんまり好みじゃないかなと思いながら読み進めていた。なにより肩ひじ張った文章にうんざりしていたけど、だいたい40ページくら…
活字で読む名馬たちの物語。一冊を通したコンセプトがあるわけではなく、どの名馬/名レースも同じ紙幅で描かれていることから、全体の感覚としては二作目に近い。また「はじめに」にある通り一章は『名馬を読む』というより『名伯楽と名手を読む』といった感…
解放区(2025年、日本、監督:今井八朔、109分) 最初の数分を除いて一貫して夜の景色で構成された映画。やや画面が暗くて見ずらいところはあるけど、それだけにファンファーレや花火で彩られる画面の華やかさが際立っている。ほぼ一貫して夜という意味で逆…
ドグラ・マグラ(1988年、日本、監督:松本俊夫、109分) 大学生くらいのころにレンタルで視聴済み。2020年にBDが出たんだけど(主に資金的な)諸事情があって躊躇していたのを今回思い切って購入した。 夢野久作的なおどろおどろしい雰囲気や現実ぐらぐら感…
福岡公演に参戦してきました。 すげえ近かった。うっひょひょひょ、やったやったやったたー! 人生でこれ以上ステージに近づくことはないと思う。肉眼で壇上の人々が見えて、生の声なんじゃないかと錯覚しそうなほど間近な声が、楽器が、床を這って伝わって…
思ったよりずっとわかる話だった。 旧訳で読んだときより物語の筋をちゃんと理解できたのは翻訳のおかげなのか年月がそうさせてくれたのか。新訳のほうが俗語をちゃんと俗っぽく翻訳してくれているみたいで、少なくとも本書については新訳のほうが正しいよう…
ザ・リーチ(1953年、アメリカ、監督:ジェフ・シャセット、70分) おどろおどろしい雰囲気と不条理な宇宙生物の襲来、その対策に関する人間関係のいざこざ科学技術に創意工夫、そしてもう一段のオチ……と古典的な怪獣映画。もちろん映像技術的には現代の映画…
ベイビー・ドライバー(2017年、イギリス/アメリカ、監督:エドガー・ライト、113分) すごい。冒頭一発目のカーチェイスだけで元が取れる。音楽とカーアクションは文句なく素晴らしいけれどストーリーは良くも悪くもオーソドックスで新鮮味はない。個人的に…
ここでも書いたけど聴き始めたのは世間で評判になっていたからというのと好きなブログで推されていたから、というだいぶニワカな理由からだった。とりあえず公式YouTubeにアップロードされているMV動画をいくつか聴いてみるか……と何気なく聴いたのが「傘」だ…
マジで読むのやめようかと思った。というかディックじゃなかったらやめていた。一部登場人物が不愉快。以下、悪口の羅列。 デニーは人が見ている前では殴らないって、いやさっき思いっきり殴りかかってたでしょ。いや、なんだこいつ。マジで奥さんの方が正し…
ドリブレッドをおくれ(2010年、アメリカ、監督:クラレンス・メツガー、124分) ほんの少しの水ドリブレッドを巡る人々の葛藤を淡々と描いている。背後にある陰謀論的世界と、それに関わっているはずなのに事態の進行から疎外され続ける主人公のK・カフ(K.C…
きさらぎ駅(2022年、日本、監督:永江二朗、82分) ネットロアを基にした映画で、元ネタは一応は読んだことあったし元ネタを原案に大幅にアレンジした映画ということは知っていたけど、まさかここまでパニック映画風になっているとは……けど、登場人物を増や…
待望の競馬SF。序盤の短文の連続(緊迫感を出したいわけでもないのになぜ?)に面食らって、正直試し読みもしないで買ったことをちょっと後悔したけど、それ以降はそんなことなくて安心した。よく「問題作」という評を聞くけど、これは確かに問題作としか言…
待望の続編。やったぜ。前作と同じく25分を四話と手軽に楽しめるホラーコメディ。基本的な設定および構成も前作を引き継いでいるけれど、一話の冒頭に前作の補足(と最終話への伏線)となる映像が挿入されている。また、謎を解明した後に第三者視点での種明…
収録作品はすべて既読。戦争を題材にしたコンセプトアルバムだけどせっかく「ジョンの世界」が収録されているのだから「変種第二号」もセットで収録してほしかった。そこはちょっと残念。収録作の感想は大森望編『ディック短編傑作選』シリーズで書いたので…
収録作の大部分が既読。主に中期の作品を収録しているらしい。タイトルの通り「つくりもの」を題材にした作品が多い……わけでもなさそう。どちらかというと「追憶売ります」の存在感からタイトルがつけられたんじゃないかな。大森望編『ディック短編傑作選』…
収録作はすべて既読。タイトルにあるように一夜の「悪夢」的な展開の作品(「調整班」「スパイはだれだ」「出口はどこかの入口」「凍った旅」)直喩比喩を含む「機械」的なものを扱った作品(「超能力世界」「新世代」「少数報告」)そのほかこの二つに括れ…
と、ある日の二人(2025年、日本、監督:池地ツナ、88分) 原作にある独特の雰囲気が十二分に活かされた映画。個人的にはアニメで観たかったけど実写でこれほど原作再現ができているのはすごい。「と、ある日のわたしとタケル」「と、ある日の僕のひも」のみ…
コマンドーニンジャ(2018年、フランス、監督:ベンジャミン・コンブ、68分) パロディ満載大変愉快な映画。 タイトルの通りおバカな低予算自主製作映画。『コマンドー』と忍者をくっつけたタイトルで基本咳な設定はたしかに『コマンドー』のパロディだけど…