電羊倉庫

嘘をつく練習と雑文・感想など。ウェブサイト(https://electricsheepsf.web.fc2.com/index.htm)※「創作」タグの記事は全てフィクションです。

創作

最近見た存在しない映画(2024年3月)

解放区(2025年、日本、監督:今井八朔、109分) 最初の数分を除いて一貫して夜の景色で構成された映画。やや画面が暗くて見ずらいところはあるけど、それだけにファンファーレや花火で彩られる画面の華やかさが際立っている。ほぼ一貫して夜という意味で逆…

最近見た存在しない映画(2024年2月)

ザ・リーチ(1953年、アメリカ、監督:ジェフ・シャセット、70分) おどろおどろしい雰囲気と不条理な宇宙生物の襲来、その対策に関する人間関係のいざこざ科学技術に創意工夫、そしてもう一段のオチ……と古典的な怪獣映画。もちろん映像技術的には現代の映画…

最近見た存在しない映画(2024年1月)

ドリブレッドをおくれ(2010年、アメリカ、監督:クラレンス・メツガー、124分) ほんの少しの水ドリブレッドを巡る人々の葛藤を淡々と描いている。背後にある陰謀論的世界と、それに関わっているはずなのに事態の進行から疎外され続ける主人公のK・カフ(K.C…

最近見た存在しない映画(2023年12月)

と、ある日の二人(2025年、日本、監督:池地ツナ、88分) 原作にある独特の雰囲気が十二分に活かされた映画。個人的にはアニメで観たかったけど実写でこれほど原作再現ができているのはすごい。「と、ある日のわたしとタケル」「と、ある日の僕のひも」のみ…

最近見た存在しない映画(2023年11月)

地球に磔にされた男(2017年、日本、監督:山田寛一、100分) 素晴らしい。時間SFの中でもかなり変わり種で理論はタイムトラベルだけどやっていることはパラレルワールドの移動で、落着はタイムリープものに近い。すげえや、時間ものの新機軸だ! 怠惰な男が…

最近見た存在しない映画(2023年10月)

7.62ミリ(1988年、チェコ、監督:オンドジェイ・ランパス、124分) 対象物を見ると死ぬ(別生物に変質する)という設定は(逆だけど)藤田和日郎『邪眼は月輪に飛ぶ』を思い出す。もちろん年代を考えると両者ともにまったく影響しあわないところで作られた…

思い出:「急に寒いやん」

今週のお題「急に寒いやん」 「急に寒いやん」 あいつの口癖だ。だからこの季節には彼を思い出す。大学の同期で一回生のオリエンテーションで知り合った。あいつは見た目が派手……各種ピアスに輝く色の長髪……で、俺とはまさに正反対の男だった。学籍番号の並…

最近見た存在しない映画(2023年9月)

世界の果てまで何マイル?(1993年、アメリカ、監督:ウィリアムズ・クリスタルマン、103分) マジックリアリズム・ロードムービー。派手さはないけど、なんだかたまらなくなってくる。印象的なのは、やっぱりトーキング・マン。名に反して本当に一言も発す…

最近見た存在しない映画(2023年8月)

午後の大進撃(2003年、日本、監督:トニー浅利、65分) スラプスティックハチャメチャドタバタコメディ。主に90-00年代の『アフターヌーン』誌に掲載されていた漫画のキャラクターたちが所狭しと暴れまわる楽しいアニメーション。周年記念のお祭り企画で始…

さいきんよくみる変なゆめ

みなさんこんにちは、電々(id:dennden)です。お久しぶりです。……ほんと、お久しぶりです。いまこの時点で49日もブログをさぼっていました。二か月近く何の音沙汰もなく放置してしまって、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。なんだか何をする気力も起…

最近見た存在しない映画(2023年7月)

早乙女さんにはもうデスゲームしかない(2023年、日本、監督:浜輪裕、105分) 青春コメディ。監督を含めてかなり若手のスタッフで製作されていて役者も作品設定の通り高校生が起用されているらしい。撮影現場の雰囲気も良かったんだろうなあ、きっと和気藹…

最近見た存在しない映画(2023年6月)

ソーシャル・エンジニアリング(2021年、ギリシア、監督:ディミトラ・ハリトス、79分) 原作と同じくシンプルで良く纏まった映画。映像のレベルも高くて、特にナビゲーターがくるくると入れ替わる冒頭のシーンはとても印象的。ただ、この手の拡張現実の描写…

最近見た存在しない映画(2023年5月)

AWAY―アウェイ―(2021年、日本、監督:茂戸実、107分) とても良く纏まっていている誠実な映画。やや過剰な演出もあったけど、全体的に落ち着いていて役者も演技巧者揃い。ただ、パニックホラー的な側面がかなり強化されていているから、そういうのが苦手に…

最近見た存在しない映画(2023年4月)

裏バイト:逃亡禁止 劇場版(2027年、日本、監督:佐久間キュウ、119分) テレビシリーズの好評を受けて製作された劇場版で、テレビドラマ版から一気に視聴した。音楽を多用せず大げさな声をあげることもなくキッチリ正道に恐ろしいのはテレビシリーズから変…

最近見た存在しない映画(2023年3月)

花と機械とゲシタルト(1987年、日本、監督:山岡治、99分) かなり尖った絵柄で、正直パッケージを見たときはあまり良い印象を受けなかったけど、想像よりずっと原作と合った雰囲気を出せていた。デフォルメが効いた絵柄にどこか暗めの色調、そして抑揚の効…

最近見た存在しない映画(2023年2月)

天使のハンマー(2000年、日本、監督:和達孝敏、93分) 時系列の管理が完璧な映画。最初と最後が一致する構成で、しかも頻繁に回想を挿入しているのに表現が明快で物語の筋がスッと頭に入ってくる。 あだち充作品でも一二を争うほど暗く、救いがない物語。…

最近見た存在しない映画(2023年1月)

空色(1980年、日本、監督:今井八朔、60分) 60分という、映画としては決して長いとはいえない時間で幼少期から壮年期までを違和感なく描いているのはもっと評価されてしかるべき。遊び盛りから働き盛り、純真から欺瞞、自由から責任、と移り変わっていく様…

最近見た存在しない映画(2022年12月)

リボーンの棋士(2024年、日本、監督:及川肇、128分) 役者も演技巧者揃いでビジュアルの再現もかなりレベルが高い。ビジュアル面では特に土屋は完璧に近い役者を連れてきていた。エピソード自体はやや端折られていたけど川井役の役者の演技力はもっと絶賛…

最近見た存在しない映画(2022年11月)

ネオ・デビルマン(2018年、日本、監督:湯間博激、136分) 同じくネットフリックスオリジナルの「DEVILMAN crybaby」と同時配信されていた作品をなぜいまごろかというと「DEVILMAN crybaby」でダメージを受けすぎて手を出せなかったからで、だいぶ遅くなっ…

最近見た存在しない映画(2022年10月)

スペースキャットvsアースキャット(2222年、アメリカ、監督:ジェフリー・ライバー、222分) 物語の筋自体は単純明快で、地球を侵略に来た外来種の宇宙猫スペースキャットと彼らを撃退すべく急ごしらえのチームを組んだ在来種の地球猫アースキャットが可愛…

最近見た存在しない映画(2022年9月)

告白―コンフェッション―(2000年、日本、監督:川本伸治、105分) まずはやっぱりビジュアルが素晴らしい。原作の作風が割と劇画寄りなことを加味しても浅井と石倉のどちらも原作のビジュアルを忠実に再現しているのはもっと評価されるべき。原作はほとんど…

最近見た存在しない映画(2022年8月)

黒博物館Ⅱーゴースト&レディー(2020年、日本、監督:富士鷹和宏、119分) 素晴らしい。もちろん一作目の「スプリンガルド」も素晴らしいアニメ化だったけど、今作はそれを上回る、オールタイムベストに挙げられるくらいの完成度。原作のファンだけでなく史…

最近見た存在しない映画(2022年7月)

そばかすのフィギュア(1995年、日本、監督:菊池るみ、88分) この時代のアニメを観ているとなぜか懐かしくなってくる。どうしてなんだろう。年齢的にほとんど自我はなかったはずだけど、どこかで原体験になっているのかもしれない。 原作を読んでから観た…

最近見た存在しない映画(2022年6月)

命のネジを巻く旅人サバロ(1993年、日本、監督:江路村秋草、97分) アニメ化してるなんて知らなかった。こういう隠れた作品を見つけられるのもAmazonプライムのいいところですな。まあ、有料チャンネルに課金が必要で妙に高かったけど、草上仁先生の作品の…

生きていくためにとっても大切な薬物の話

今週のお題「本棚の中身」 移動装置を破壊した。これでもう戻れない。 ここは失われた過去の楽園。逃避行は完結した。タイムトラベルを巡る冒険は終わり、あとは生活が待っている。 ここへ至るまでの艱難辛苦は筆舌に尽くしがたい。ほとんど狂気じみた執念を…

最近見た存在しない映画(2022年5月)

李陵(2015年、台湾、監督:盧三造、115分) 日本で李陵といえば中島敦「李陵」が最も有名だろうけど、この映画は中島敦の小説は一切関係がない。というか、原題は「司馬太史令」で、メインは司馬遷のほうなんだけど、どういうわけか李陵が訳出されている。…

最近見た存在しない映画(2022年4月)

美亜へ贈る真珠(2017年、日本、監督:梶渡司、96分) お気に入りの短編小説がついに映像化する、ということでとても楽しみにしていたおれの期待を裏切らない素晴らしい作品だった。短編を100分近くの映画にするにあたってそれなりに肉付けがなされているけ…

最近見た存在しない映画(2022年2月)

ゴーレム ハンドレッド・パワー(2280年、アメリカ、監督:アンシブル・ジョウント、100分) うーん……もうちょっと原作に寄ったテンションで作っても良かったんじゃないかな。出来が悪いわけではないけど、画面が暗くて観にくくて、それなりに尺をとった割に…

最近見た存在しない映画(2022年1月)

乙嫁語り(2018年、日本、監督:江間シャーリー、95分) ただでさえハイレベルな昨今の劇場版アニメ界の中でも群を抜いた作画レベルの高さ。これを広いスクリーンで見ることができるというだけで映画館に行く価値があった。人間や動物たちの動きもさることな…

思い出:手帳

今週のお題「手帳」 手帳、と聞くと思い出すことがある。 幼いころから忘れっぽいわたしにとって手帳はなくてはならない、相棒のような存在だ。日々の暮らしのあれやこれはカレンダーを四角に折って作った簡易メモ帳に書き記し、やり遂げたものから線で消し…