電羊倉庫

嘘をつく練習と雑文・感想など。ウェブサイト(https://electricsheepsf.web.fc2.com/index.htm)※「創作」タグの記事は全てフィクションです。

最近見た映画(2022年6月)

ハードコア(2016年、ロシア/アメリカ、監督:イリヤ・ナイシュラー、96分) すごい。アイディアもそれを実現する技術力も、そして嘘をきちんと覆い隠す創意工夫も、非の打ち所がない。序盤からかなり飛ばした展開が続くけど、キチンと抜くところは抜いて緩…

ポルノグラフィティの色彩

色の表現が好きなので、ポルノグラフィティの歌詞で「色」に関する言葉がどれくらい使われているか調べてみた。 docs.google.com スプレッドシート(DL) 目視でカウントしたから間違いがあるかも。もしミスを見つけたら連絡してもらえると助かります。一応…

梶尾真治『美亜へ贈る真珠[新版]』[ほろ苦い恋物語にSFのエッセンス]

時間と愛についてのほろ苦いラブストーリー。 梶尾真治先生*1といえば多くの人は映画化された『黄泉がえり』を思い浮かべると思うけど、おれにとっては本作みたいな短編集のほうが印象深い*2。梶尾作品の二大ジャンルといえばラブロマンス系とドタバタコメデ…

生きていくためにとっても大切な薬物の話

今週のお題「本棚の中身」 移動装置を破壊した。これでもう戻れない。 ここは失われた過去の楽園。逃避行は完結した。タイムトラベルを巡る冒険は終わり、あとは生活が待っている。 ここへ至るまでの艱難辛苦は筆舌に尽くしがたい。ほとんど狂気じみた執念を…

最近見た存在しない映画(2022年5月)

李陵(2015年、台湾、監督:盧三造、115分) 日本で李陵といえば中島敦「李陵」が最も有名だろうけど、この映画は中島敦の小説は一切関係がない。というか、原題は「司馬太史令」で、メインは司馬遷のほうなんだけど、どういうわけか李陵が訳出されている。…

最近見た映画(2022年5月)

曲がれ!スプーン(2009年、日本、監督:本広克行、106分) 少し不思議なコメディ映画。物語が動き出すのがやや遅いし派手な結末もないけど、飽きることなく楽しく観ることができる、という不思議な映画。なんでだろうと思ったけど、たぶん会話のテンポ感だと…

湊かなえ『往復書簡』[徐々に明かされる情報とオチの謎解きが気持ち良い短編集]

全編が手紙のやり取りで構成された連作短編集。作品ごとに主要キャラクターは入れ替わるけど、登場人物や赴任先の国など、小さなつながりがある。ただ、それも直接関連しているわけではなく、世界観を共有しているという程度。 彼らはそれぞれの過去に起きた…

最近見た存在しない映画(2022年4月)

美亜へ贈る真珠(2017年、日本、監督:梶渡司、96分) お気に入りの短編小説がついに映像化する、ということでとても楽しみにしていたおれの期待を裏切らない素晴らしい作品だった。短編を100分近くの映画にするにあたってそれなりに肉付けがなされているけ…

最近見た映画(2022年4月)

プラットフォーム(2019年、スペイン、監督:ガルダー・ガステル=ウルティア、94分) こういう閉塞的なシチュエーションの映画はかなり好み。階層社会や飽食、持続可能性がテーマとして提示されつつ、どこか宗教的な物語構造になっているのも面白い。ヨーロ…

野球のニュース見て漫画読み返してなんか落ち込んだ話

先日、佐々木朗希投手と白井一行球審のトラブルがニュースになっていた。いろいろ擁護も批判もあるみたいだけど、野球には詳しくないから具体的なことはよくわからない。礼儀とか権威とか純粋なルールとか人間が判定することの限界とかいろいろなことが議論…

ポルノグラフィティ「悲観と陰鬱」10選

1.音のない森(作詞:岡野昭仁) 岡野昭仁さん*1初の作詞作曲のシングルにしてドン底ネガティブ岡野昭仁心情吐露ソングの原点。人生を静まり返った暗い森に例えて、閉塞感や将来への不安を描いている。ミュージシャンが唄う〈音も無いこの深い森に怯えて〉と…

アルフレッド・べスター『イヴのいないアダム』[キレる名作短編とオムニバス式中編]

乾いた文体で会話文が多くてテンポが良く、全体的に初読の時と感想は変わらない。 圧巻の名作「ごきげん目盛り」はいつ読んでもどれだけ読んでも肌が泡立つ。この作品のためだけに購入する価値はあると思う。一人称形式の自我の混乱はおれが書きたかったもの…

ポルノグラフィティ「嘘と本当」10選

1.LiAR(作詞:新藤晴一) 名は体を表すポルノグラフィティの「嘘」の代表曲。鮮烈な色調が印象的で、花に関連する言葉と人工物を巧みに織り交ぜて「自然と人為」という対称的な比喩表現によって相互不理解や嘘を表現している。二人(?)がどういう関係性だ…

もっと評価されるべきポルノグラフィティの楽曲「青春花道」

「青春花道」(作詞:新藤晴一 作曲:新藤晴一 編曲:tasuku, Porno Graffitti) 青春花道(初回生産限定盤)(DVD付) アーティスト:ポルノグラフィティ SME Amazon いや、おっしゃりたいことはわかります。ダサいって言いたいんでしょう。そりゃあ、おれだって…

ハーラン・エリスン『死の鳥』[エリスンのベスト短編集]

エリスンを初めて読んだのは大学生のころで、もちろん『世界の中心で愛を叫んだけもの』だった。 世界の中心で愛を叫んだけもの (ハヤカワ文庫 SF エ 4-1) 作者:ハーラン・エリスン 早川書房 Amazon 強烈なタイトルはいろいろなところでパロディにされている…

完全初心者がマスターデュエルでプラチナtier1に上がった感想

プラチナtierⅠに上がった。 ……というより、上がってしまった。 たぶん、時期が良かったというのもあると思う。Twitterで話題になっている【DDダイナマイト】が先行取られて1ターンサレンダーをしてくれたのが二回はあったし、イベントが間近に迫っていたこと…

読書感想文と方程式

読書感想文と方程式って真逆のプロセスを踏んでいる。 学生の頃の苦手科目は数学、得意科目は国語だった。 幼少期の母の読み聞かせのおかげで読書好きの子供になっていたから文章を読んだり書いたりするのに苦労することはなかった。小学校の頃のテストはほ…

はじめての遊戯王

マスターデュエル、始めました。 遊戯王はほぼ直撃世代なのにまったく触れたことがなかったけど、別ゲーム経由で観始めたあまくだりさんの元ネタ(?)が遊戯王ということもあってちょっと興味はあった。基本無料なことだしせっかくだから触れてみようかな………

江面弘也『名馬を読む』[中国史書で言えば本紀。生涯戦績、繁殖成績、社会現象、特異な事績など]

基礎資料として評判が良さそうだったので購入。ここでも書いたけど、おれはウマ娘から競馬(競走馬)に興味を持った人間で、ネットで競走馬のエピソードを調べたりするのが最近の楽しみだったんだけど、某所で「興味を持ってくれるのはいいけど、できればち…

最近見た存在しない映画(2022年2月)

ゴーレム ハンドレッド・パワー(2280年、アメリカ、監督:アンシブル・ジョウント、100分) うーん……もうちょっと原作に寄ったテンションで作っても良かったんじゃないかな。出来が悪いわけではないけど、画面が暗くて観にくくて、それなりに尺をとった割に…

最近見た映画(2022年2月)

マーズ・アタック!(1996年、アメリカ、監督:ティム・バートン、106分) むかしテレビ放送されているのを親が観ていて、それを横目で観ていたことがあったんだけど、とあるシーン*1がトラウマになっていたせいで怖くてグロイ映画だと思い込んでいて中々手…

ポルノグラフィティ「比喩表現」10選

1.ジョバイロ(作詞:新藤晴一) 新藤晴一さん*1による比喩の百鬼夜行。敷き詰められた「演劇」「宇宙」「花」に関する言葉は今目の前にある恋への不安や閉塞感を強調する。多用される「広さ」を表す言葉と「隣にいる恋人」という狭さ、そして破綻の予感によ…

アルフレッド・べスター『破壊された男』[めくるめく展開とハイテンポな文章がたまらない]

なんとなくカロリーが高い小説が読みたくなって再読。 べスターのほかの作品、例えば「ごきげん目盛り」なんかもそうだったと思うけど、短い言葉を連続させることで迫力を出してテンポを作るスタイルは素晴らしい。あとエスパー同士の会話をビジュアルイメー…

ポルノグラフィティ「離別の歌詞」10選

1.サボテン(作詞:新藤晴一) 詩的な表現で彩られたストレートな失恋の歌。どちらが悪いとかそういうことではなくて、もっと根本的な不一致(もしくは相互不理解)が描かれている。ほぼ一貫して降り続ける雨は〈心深く濡れてしまうだろ〉や〈溢れるくらい水…

最近見た存在しない映画(2022年1月)

乙嫁語り(2018年、日本、監督:江間シャーリー、95分) ただでさえハイレベルな昨今の劇場版アニメ界の中でも群を抜いた作画レベルの高さ。これを広いスクリーンで見ることができるというだけで映画館に行く価値があった。人間や動物たちの動きもさることな…

山野浩一『いかに終わるか: 山野浩一発掘小説集』[単なる落ち葉拾いに終わらない作品群。傑作につながるモチーフ、不条理そのもの等]

いやあ、楽しみにしていました。山野浩一*1は比較的寡作で傑作選が二冊*2と長編が一冊、連作集が一冊しかない。そこにきて本作が主に「単行本等に未収録だった短編」を収集して一冊にまとめてくれた。まだ見知らぬ山野浩一がこんなに読めるんだ! もちろん、…

最近見た映画(2022年1月)

コマンドー(1985年、アメリカ、監督:マーク・L・レスター、90分) 筋肉シュワちゃん銃声爆発アクション爽快感MAX娯楽映画。 もちろん有名作品だから*1出てくる名台詞(?)とかおおよその展開とかは知っていたけど通してみたことはなかった。かなり前から…

ロジャー・ゼラズニイ『地獄のハイウェイ』[単純明快な娯楽作品。やっぱりロードノベルが好き]

最近、比較的文学よりの小説だったり内宇宙に潜ったりスペキュレイティブなフィクションだったりする作品ばかり読んでいて、もちろんそういう作品が好きなんだけど、さすがにちょっと疲れてきた。もうちょっと気楽に読める単純明快な小説が読みたくいなあ………

案内所

ポルノグラフィティ 《〇〇選》 「風景描写」10選 「心情描写」10選 「離別の歌詞」10選 「比喩表現」10選 「嘘と本当」10選 「悲観と陰鬱」10選 《もっと評価されるべき》 「俺たちのセレブレーション」 「Love,too Death,too」 「青春花道」 《歌詞解釈》 …

山野浩一『山野浩一傑作選Ⅰ/Ⅱ』[不確かさ、漠然とした不安、そしてやっぱり文章がかっこいい]

なんと山野浩一*1の新刊*2が発行された。 いかに終わるか: 山野浩一発掘小説集 作者:山野浩一 小鳥遊書房 Amazon もちろん、発売したらすぐに買おうと思っていたけど発売日を勘違いしていて、慌てて本屋に飛んで行ったら、田舎の本屋の哀しいところで、もう…