電羊倉庫

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みなとみらいロマンスポルノ'25 「THE OVEЯ」感想[反転して百面相をみせるステージ。そして新潮流な新曲]

 アップテンポハイテンション、みっつの夏、光で表現される夕暮れと夜、映像とともに深い夜、年の瀬と新年の抱負。

 最終日のカウントダウンライブに配信で参加。いつもに増してステージ演出が素晴らしくて、そういう意味ではかつてないほど視覚的なライブだったと思う。パートごとにテーマが決まっていて楽しみ方が変わる挑戦的なセトリと演出も素晴らしかった。

 抗う岡野昭仁さん*1と慶ぶ新藤晴一さん*2と新年を迎える楽しいライブだった。

 

M1.THE DAY

 ド頭一発目はこの曲。冒頭に流れたのは「THE WAY」で披露されたときにアウトロで追加されたパート。これはもうあの曲とサンドイッチするセトリなのだなと即座に理解できる。テンションアガルけど、二番の辺りで昭仁の咽喉にやや不調の兆しが見られる。

 

M2.Search the best way

 前曲が終わってすぐに晴一のギターがリフを奏でて始まったのがこの曲。ちょっと! おれが物理的に参加できないライブでこういう曲披露するのやめてくれませんか!! ラストパートの入りで音数が少なくなりどこか静謐な空気になるのが印象深い。ラストの〈What's shall I begin with?〉の低音気味の伸びが素晴らしい。

 

M3.Montage

 休みなく続くハイテンション楽曲。〈鮮やかなプリズム〉という歌詞の通りに移り変わり客席をも照らすライトの演出が印象的。シンプルなバンドサウンドが盛り上げてくれる。

 

M4.ヴィヴァーチェ

 生き生きと早く繰り広げられる夏の日。低音のパートに辛さが滲み出ていたけど、それでもお祭り気分を盛り上げて楽しく歌い上げてくれた。ラストの高速手拍子なんかは現地に居たら楽しかっただろうなあ。

 

M5.Shake hands

 いまここにある夏の日。低音とロングトーンが辛そうだけど、明るく楽しく歌い上げてくれた。〈迎え撃つぜ夏のやつ〉で客席を指さす昭仁がカッコいい。はしゃいで楽しく体を動かすパートはいったんここで終わり。

 

M6.言伝 ―ことづて―

 あのときの夏の日。NHKで製作されたアニメーションを背景に披露された。不謹慎な表現になるかもしれないけど、この日の昭仁の咽喉のコンディションの悪さが良い方向に作用していたようにも思える。掠れ気味の声が忘れてはならないあの日のこと、いま進行しつつあるいろいろなこと、その両方への祈りをより切実なものにしていた。

 

M7.惑星キミ

 深夜のライブで星空を演出するライトが素晴らしい。「言伝」からの選曲としてはほぼ完璧だったと思う。明るすぎず、暗すぎない。「ミョン」と「ピロ」の中間のようなイントロから始まるギターのリフが良すぎて洗脳されそう。

 

M8.空想科学少年

 物理的に動けないドラム以外の楽器を持った四人が前に出て短めのインタールードのようにインスト曲を演奏して始まる。この時点では完全に「ミュージック・アワー」が始まるのかと思っていたから不意を打たれた。アレンジは「FCUW6」に近い。ギターのリフで頭が破壊される。〈Monkey Dance!〉のがなりが印象的。

 

M9.夕陽と星空と僕

 落ちかけた夕陽を表現する赤いライトは〈太陽とともに沈んで〉いき、青に呑み込まれて消えていく。そして、ラストの〈あの夕陽にも〉から赤が戻ってきて、夕暮れの風景に戻る。素晴らしい。ステージ演出に圧倒される。

 

M10.風波

 遠い失恋を想う心が昭仁の咽喉の不調と不思議なほどマッチしていた……というのはちょっと贔屓が過ぎるか。こうやってライブで聴いてみると派手さはないけどライブ映えのする楽曲だったことに気づく。

 

M11.ラック

 ら、ら、ラック!? ここで、「ラック」は反転しすぎでしょ! モニターに映る歌詞があまりにもカッコ良い。荒廃したスラム感に酔いしれる。圧倒的ロック。

 

M12.悪霊少女

 切り絵っぽい世界観、森の中の城、狼の遠吠え、吹きすさぶ風の音から「Winding Road」と予想していたら童話を思わせるイントロと共にグッとカメラが引かれて城を見つめる少女が映る。MVを踏襲したアニメーションがスクリーンに流れる。MVでは赤を効果的に使っていたのに対して今回の映像は青や黒を基調にしていたのが印象的だった。不調の中でもロングトーンは圧巻。

 

M13.鉄槌

 客席を照らすライトがカッコ良すぎる。懸命さが滲み出るボーカル、重い怒りを響かせるギター。囚われていた人間が扉をこじ開けるところで映像が終わるのは解放の希望を感じさせる。

 

M14.Interlude *3

 何かひとつの出来事が終わったかのような静謐さから徐々にボルテージを上げていく。疾走するギターはまるで拘束から解き放たれた者が青空の下で思いっきり駆け抜けているかのようで「鉄槌」と「2012Spark」を繋げる完璧な楽曲。やっぱりポルノのインタールードはたまらない。ステージ前方のレーザー状のライトは色彩を豊富に奏者を彩る。

 

M15.2012Spark

 攻撃的なイントロでスタート。2025年を締めくくる「2025Spark」。深い夜が終わって光が見えるという構成が素晴らしい。全体を通してこの曲が最も声が辛そうだったけど、その懸命さ必死さが胸を打つ。

 

M16.ハネウマライダー

 MCの途中で唐突に始まる「Before century」*4と新年カウントダウンを終えて始まる午年らしい楽曲。タオルを振り回す光景は傍から見ていても楽しそう。暗雲吹き飛ばすお祭り騒ぎで新年を高揚で祝う。ポルノグラフィティとファンの関係性という意味でも最適の選曲だったと思う。

 

M17.スロウ・ザ・コイン

 間を置かずに始まるレア曲。曲中時系列的な現在は八月なんだけど一番で挿入される初詣の思い出が印象的だから選曲されたのかな。前向きとまではいえないけど楽曲だけど、どこか飄々とした空気感に救われるところはある。

 

M18.極上ランディング

 続くのはライブ初披露というレア中のレア曲。直前のMCでも言われていた通り新しい年へのランディングを決めるというタイトルに絡めた理由に加えて「上手くいかないかもしれないけどとにかく初めて前に進もう」という苦難を内包したポジティブさが新年の決意にふさわしいからというのもあるのだと思う。

 

M19.Century Lovers

 お祭り騒ぎ第二弾。世紀は変わってないけど年は変わって〈1999〉は遥か昔のことになってしまったけど新年を迎えるのに最適などんちゃん騒ぎ。いつ聞いてもいつ演奏されてもやっぱり良い。〈泣いちゃいそうかい?〉から鳴る「ピロピロピコピコ」という音が印象的。

 

M20.幸せについて本気出して考えてみた

 一年の計は元旦にありという言葉があるけど、年が明けて30分くらいの新春早々も早々の時点でちょっとビターで力強いこの曲で幸せに想いを馳せるのも悪くない。

 

M21.THE REVO

 本編ラストを飾るのはやはりこの曲。イントロのキーボードがたまらない。〈さらば過去よ〉からのリズム感は流石の一言。ラストの〈THE DAY HAS COME〉は魂を削るような絶叫。ライトもスクリーンもそのすべてを使って曲の世界観を表現している。〈革命っていうやつを〉の辺りでの会場は神々しさすら感じさせられる。スクリーンの円形は「THE DAY」のMVのロボの幼体(?)だろうか。変形ではなく球体のまま解れていく。最後に追加されたパートは〈BEYOND THE OVEЯ〉がグッと来た。超える。不調もめでたさも決意も喜びもすべて包み込んで、多幸感と達成感と寂しさと強さと希望に溢れて、完走した。

 

EN1.はみだし御免

 新曲。やったぜ!

 系統でいえば「OLD VILLAGER」の流れを汲んでいる。敢えて古めかしい言葉を採用していて、誤解を恐れずに言えば昭仁っぽい晴一という印象がある。そこにこれまでなかった和風の音楽性を外から注入した楽曲、というのがいまのところの感想。特に音楽性に関しては(詳しいことは分からないけど)ポルノの新潮流になるんじゃないかといまから興奮している。極めてミクロな、個人的な視点に終始しているところが、そのメッセージ性や力強い音楽性と相俟って気分を高揚させる。前曲に引き続きスクリーンに描かれている円形が花火のように煌めいているのが良い。

 

EN2.アゲハ蝶

 おっ、そのMCってことはやっぱりそうなんすね!

 モニターに〈夏の夜〉が描かれ、ステージをアゲハ蝶の羽根のように鮮やかに彩る。定番曲をオーソドックスに演奏してくれた。会場も歌って手を振って手拍子してラストに向けて徐々にボルテージを高めている。

 

E3.ジレンマ

 いつものラストソング。お祭り騒ぎ。これでもかとステージがカラフルに輝く。ソロパートはそれぞれ、玉田さんは野生をむき出しにして素手でドラムを叩き、山口さんは激しいステップを踏むように爪弾き、tasukuさんは「今宵、月が見えずとも」、皆川さんは「サウダージ」を、そして晴一は「サウダージ」を若干口ずさんでからギターで纏め上げ、そして残った力を振り絞って暴れる昭仁。「love up!」の元になっているだけにファンクラブ限定ライブの締めにふさわしい。

 

 

――――――

 久しぶりのライブ配信。おれはよほどのことが無ければ九州の外には遠征できないから、こういう特別なライブだけでもストリーミング配信してくれるのは本当に助かる。もちろん、現地で享受できるパワーには及ばないだろうけど、それでも熱気も楽しさも喜びも十分に味わえた。

 ……毎回最終公演だけでも配信やってくれないかなあ。

 当人から言及があったように昭仁の咽喉の不調は見ているだけのこちらも辛くなるところがあった。これは配信後番組で晴一も言っていたけどやっぱりライブは水物みたいなところがあるし、人間だから仕方ない所はある。こういうことがあっても、それを含めて楽しめるファンでありたい……というのはちょっとカッコつけになるけど、やっぱりそれはそれで楽しめる余裕は持っておきたい。記憶との比較になるけどアーカイブでかなり改善していたからたぶんアーカイブ配信に際してノイズの除去とかそういうことをやってくれたのだと思う。

 いつもに増してステージ演出が華やかだった。MCで昭仁が言っていたように「反転」がテーマで、たぶんそれがわかりやすくなるように主に照明を用いるパートと映像主体で表現するパートが別れていたように思う。光と映像、そして両者を組み合わせた新年後の演出、みたいな感じ。目で見ても楽しくて、そういう意味では配信で会場全体を俯瞰で見られたのは役得(?)だったのかもしれない。

 ラバッパー限定ライブだったこともありレア曲が多めだった。おれたちが喜びそうなセトリにおれたちが喜んだライブ。多幸感と高揚感でしばらく眠れなかった。いろいろあったけど、とりあえず新年を希望を持って迎えることができる、そんなライブだった。

*1:以下、敬称略

*2:以下、敬称略

*3:セットリストについての公式のアナウンスがないからこれが「鉄槌」のアウトロなのか独立した楽曲なのか断定はできない。Live Fansでは「鉄槌」の後奏として扱われているみたいだけど【ライヴレポート】ポルノグラフィティ、7年ぶりカウントダウンライヴ<THE OVEЯ>で新曲「はみだし御免」披露「伝説の1日にするしかない」では独立してInterludeとしてカウントされていた。ライブレポの方が信頼性が高いと判断して今回はこちらに従う。

*4:これもセットリストに含めるべきかわからないけど、とりあえず含めないでおく。