ビバリーヒルズ・コップ(1984年、アメリカ、監督:マーティン・ブレスト、105分)
気楽で楽しいコメディアクション映画。破天荒な警官が悪友の敵討ちのために巨悪に挑むという単純明快な物語の筋に警察機構の硬直性とか社会的な信頼性とかを絡めて、最終的には良い感じのところに落とし込んで終わる。苦難や困難がちゃんとハッピーエンドの前振りとして機能しているお手本のようなアクションコメディ。
口先三寸で事態を突破するアクセルの小気味よさもさることながら、サブキャラクターたちもそれぞれに魅力がある。お堅い警察署にいながら軽薄さもありちょっと浮いているビリー、謹厳実直なタガート、さらに堅物だけど警察の本懐を忘れているわけではないボゴミルなど。アクセルが主人公だけど、彼よりもむしろビバリーヒルズ警察の面々の方が人間的に成長していく。アクセルの破天荒は見ている分には楽しいけど感情移入できるタイプでもないから、むしろタガート辺りに感情移入してみるとより楽しめるかもしれない。
アクション的なところでいうと序盤はカーチェイス、終盤は銃撃戦と警察らしい要素がふんだんに盛り込まれている。捜査パートの緊張感も含めて純粋に娯楽として良く出来た映画だった。
《印象的なシーン》「今度やったらお前を撃つぞ」
インサイド(2023年、イギリス/ドイツ/ベルギー/スイス/ギリシャ、監督:Vasilis Katsoupis、105分)
どういう映画だったのかと聞かれるとちょっと答えに困る。スタートはクライムサスペンスみたいな雰囲気だったけど、だんだん内宇宙的な内容にシフトしていき、最終的には……哲学的とうかサイコサスペンスというかそんな感じの雰囲気になって、だからオチも明瞭ではなく含みがある。
良く分からなかったけどなんとなくわかった……かも。けっこう好きな映画だった。おれはこういう出られない系の作品が好きなのかも。もしくは『孤独なふりした世界で』みたいなタイプの一人きりで世界に取り残されているタイプの世界観が好きな阿多家かもしれない。
キリスト教的な要素が入っている……のか? なんとなく『残酷で異常』や『プラットフォーム』と共通するものがありそう。キリスト教モチーフならやっぱり上に向かって脱出しようとするのは地獄からの脱出の暗喩だからか。
意味深に飾られてる絵が『非現実の王国で』っぽい気がしたけど関係ないか。
《印象的なシーン》隠し部屋を見つける場面。
コーチ・カーター(2005年、アメリカ、監督:トーマス・カーター、136分)
やっぱバスケ系の作品は良いなあ。
試合成績も治安も悪化しているチームに赴任したコーチが生活態度や学業成績を含めて立て直しにかかるというヤンキー系学園青春ドラマ的な作品。練習を含めて実際にバスケをするシーンも結構多くて見ごたえがある。
実話をベースにした作品なだけに現実離れした愉しさはないけど、それでも嘘みたいに連勝したり、契約の重さを理解させるために体育館を閉鎖して、それが社会問題に発展したりとドラマチック。最終戦がそれでも負けて終わってしまうのも却ってリアリティを感じさせてくれる。ただ、やっぱり銃やドラッグのような社会問題に一介の高校生が関われてしまえることが、日本の平穏な田舎町で成長した身からすると、とんでもないフィクションに見えてしまう。いまのあの地域人たちにもそう思えていたなら良いんだけど……。
余談だけど中学時代の部活の顧問の先生が厳しい人でバスケットボールを足蹴にしようものなら殺されかねない環境でバスケをしていたもんで、終盤でカーターがバスケットボールをサッカーボールみたいに足で止めるシーンにはギョっとしてしまった。あと、この時代ってバックパスなかったのかとちょっと懐かしくなった。
《印象的なシーン》カーターの自宅を訪ねるクルーズ。
きさらぎ駅 Re:(2025年、日本、監督:永江二朗、82分)
みんなでループして知識を蓄えて考察してきさらぎ駅攻略アベンジャーズだぜ!
前作がネットロアを題材にした擬RPGホラーだったことを受け継いで(?)本作もゲーム的なホラー映画になっている。前作と違ってそれが作中でも言及されているのがおもしろい。
作中で言及されている通り前作のハードモードのような作風になっている。前作が早解きタイムアタックだとしたら今作は死に覚えゲームに近い。映画版『オール・ユー・ニード・イズ・キル』とかに近い。きさらぎ駅的なものは簡単にスキップして、違う種類の怪異に立ち向かい脱出を目指す。
面白かったけど、一作目に比べてホラーとしての純度は若干低い。今作は前半が一作目のアフターストーリーをモキュメンタリー的に放送されているけど、このあたりはあんまり楽しいものでも怖いものでもなくて、正直ちょっと残念だった。ただ、それがキッチリオチに関わってくるのはやっぱり上手い。
《印象的なシーン》早い者勝ちとばかりに一斉に走り出す五人。
煩頭(2010年、日本、監督:多田昌平、6分)
タイトルと終盤の展開を鑑みるに仏教的な要素が組み込まれているのだろうけど、その辺は正直よくわからなかった。ただ、雰囲気は凄く良くて日常感と非日常感がほどよく融け合っていて気持ちがいい。
《印象的なシーン》仏像の頭に集まる鳩。
なにもかもがうまくいかないすべての男たちへ(2020年、日本、監督:Katsuhide Yamago、18分)
やや緩めの雰囲気で舞台コントっぽいところがある作品。変わった人間が変わった人間に絡んで、変わった人間たちがちょっと変な人生を送って、オッという意外なオチが待っている。
《印象的なシーン》仰向けで倒れてこっち見ている男。
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