電羊倉庫

嘘をつく練習と雑文・感想など。ウェブサイト(https://electricsheepsf.web.fc2.com/index.htm)※「創作」タグの記事は全てフィクションです。

2023-01-01から1年間の記事一覧

最近見た存在しない映画(2023年4月)

裏バイト:逃亡禁止 劇場版(2027年、日本、監督:佐久間キュウ、119分) テレビシリーズの好評を受けて製作された劇場版で、テレビドラマ版から一気に視聴した。音楽を多用せず大げさな声をあげることもなくキッチリ正道に恐ろしいのはテレビシリーズから変…

最近見た映画(2023年4月)

ノイズ(2022年、日本、監督:廣木隆一、128分) 何かの記憶違いかもしれないけど物凄く明るいCMを観た記憶があって「がんばればがんばるほど不条理に死体が増えていく。一体どうすんのこれ!」みたいなコメディサスペンスなのかなと思って観始めた。もちろ…

ロアルド・ダール『キス・キス』[意地悪いよなあ……]

一度でも目にしたら忘れられない、印象的なタイトルの短編集。 久しぶりに読み返した。初読のときよりはるかに面白く感じたのは、やっぱり読んだ当時の偏見……というか思い込みがあったからかなと思う。奇妙な味の典型的作家って聞いて読み始めたのだけど、「…

観たいのに入手困難な映画やドラマ

世界が燃えつきる日 地球じゃなくて世界です。地球の方はそれなりに手に入るみたいだけど、こっちは入手が難しい。なにせAmazonで五万近くの値段がついている。いやあ、いくらなんでもそんな値段では買えないなあ。 そもそもなんでこんな……あまり出来が良さ…

諡号と追号と名前の不思議

えっ、明治天皇と康熙帝って諡号じゃなかったの!? ……と、つい先日、大学での専攻が歴史学だったとは思えない無知で生き恥を晒してしまった。明治天皇と康熙帝の「明治」と「康熙」はどちらも年号からとられているのだけど、前者は追号(諡号と違って評価を…

最近見た存在しない映画(2023年3月)

花と機械とゲシタルト(1987年、日本、監督:山岡治、99分) かなり尖った絵柄で、正直パッケージを見たときはあまり良い印象を受けなかったけど、想像よりずっと原作と合った雰囲気を出せていた。デフォルメが効いた絵柄にどこか暗めの色調、そして抑揚の効…

最近見た映画(2023年3月)

トップガン マーヴェリック(2022年、アメリカ、監督:ジョセフ・コシンスキー、131分) カッコイイ。 スゲエ面白かった。誰もが予想する「絶対こうなるよなあ」ってのをまったく外さずに完璧に面白いものに仕上がっているのは本当に奇跡的だと思う。各所で…

ポルノグラフィティ11thアルバム『BUTTERFLY EFFECT』感想

夜と言葉のリズム。 暗い……というのはちょっと違うけど、アルバム全体から陽の光を感じないというか、どこか夜を思い起こさせる曲が多い。パッと明るい曲が「君の愛読書がケルアックだった件」と「スパイス」くらいだからというのもあるけど、やっぱり「Fade…

宮内悠介リクエスト『博奕のアンソロジー』[多種多様な競技。審判としての博奕]

博奕を題材にしたアンソロジーということだけど、前書きにもある通り、サイコロやカードを使ったギャンブルに限らず「人生の岐路における選択」のような生活における選択も一つの博奕として取り扱っている。 以下、抜粋して感想。 梓崎優「獅子の町の夜」 か…

星新一「白い服の男」[普遍性という最高の美点]

SFの定義は千差万別、人それぞれにたくさんの回答がある。実在の科学をベースにしなければSFではないという人もいれば、面白ければ科学的に間違っていてもよいという人もいる。サイエンスフィクションであり少し不思議でありスペキュレイティヴフィクション…

最近見た存在しない映画(2023年2月)

天使のハンマー(2000年、日本、監督:和達孝敏、93分) 時系列の管理が完璧な映画。最初と最後が一致する構成で、しかも頻繁に回想を挿入しているのに表現が明快で物語の筋がスッと頭に入ってくる。 あだち充作品でも一二を争うほど暗く、救いがない物語。…

最近見た映画(2023年2月)

ハリポタ祭りしてました。原作はリアルタイムで全巻読読破して、映画も三作目までは劇場で観たんだけどそれ以降は足を運ばず小説だけですませていた。大学のころにレンタルで一気見して、その一年か二年後に春休みか冬休みの帰省で原作を読み返した。だから…

防犯の論理/倫理を知りたい

ちょっと前の話だけど「Panasonic Melodious Library」でレイ・ブラッドベリ「霧笛」が紹介されていたとFMリスナーの母から伝え聞いた。「Panasonic Melodious Library」は小川洋子先生が古今東西の本を紹介するという読書好きが手を叩いて喜びそうなラジオ…

山野浩一『花と機械とゲシタルト』[権威に対する多様な見方の物語。10年後にまた感想書きたい]

ありがとう小鳥遊書房……本当にありがとう。 山野浩一*1の唯一の長編作品で国内SF随一の稀覯本としてつとに有名だった本作だけど、実は一度読んだことがある。大学卒業してすぐくらいのころにどうしても読みたくて、ネットの海と神保町の穴蔵*2を探し回ったけ…

最近見た存在しない映画(2023年1月)

空色(1980年、日本、監督:今井八朔、60分) 60分という、映画としては決して長いとはいえない時間で幼少期から壮年期までを違和感なく描いているのはもっと評価されてしかるべき。遊び盛りから働き盛り、純真から欺瞞、自由から責任、と移り変わっていく様…

最近見た映画(2023年1月)

ユージュアル・サスペクツ(1995年、アメリカ、監督:ブライアン・シンガー、106分) あっ、これだったのか。 やや凝った構成(現在/病院、現在/警察、過去の三パートある)で開始しばらくはちょっと混乱したけどわかってしまえばそれほど複雑な話ではない。…

ポルノグラフィティ18thライブサーキット「暁」感想[何度も終わりが来て時間感覚がバグった。そして温故知新な新曲]

ハイ・ヴォルテージ。 熊本公演に現地参加、武道館公演に配信で参加。配信は演奏開始五分前くらいから配信が始まって事前アナウンス*1も聞ける。悪霊に絡めた注意事項は楽しいけど、悪霊を喜ばせたいのか退治したいのかよくわからなくて少し笑った。 配信は…

tvk『この動画は再生できません』[モキュメンタリー的ヒト怖と緩い空気のコントの融合]

全四話で一話が25分程度と手軽に観れるホラーコメディドラマ。前半が投稿された動画を丸々流し、後半でかが屋の二人が演じるオカルトの専門家二人が動画を分析するという構成。それぞれ、女子高生のTikTok、ストリーマーの生配信動画(Twitch?)、カップル…

ポルノグラフィティ「ネオメロドラマティック」という寄り添い方

うおおイントロ最高!テンション上がるぜ!ライブで盛り上がる最高の一曲!!歌詞も小気味よくてスッと頭に入ってくる。歌詞は……歌詞……うん?……「ボイルした時計」の……「皮をむく」?……んん?……えっ、なに?どういうこと?時計に皮はないだろ……。 ネオメロド…

最近見た存在しない映画(2022年12月)

リボーンの棋士(2024年、日本、監督:及川肇、128分) 役者も演技巧者揃いでビジュアルの再現もかなりレベルが高い。ビジュアル面では特に土屋は完璧に近い役者を連れてきていた。エピソード自体はやや端折られていたけど川井役の役者の演技力はもっと絶賛…

最近見た映画(2022年12月)

ファイト・クラブ(1999年、アメリカ、監督:デヴィッド・フィンチャー、139分) 有名作なので視聴。とあるゲーム作品経由で仕掛けのことは知っていたけど物語の筋や落着がどうなるのかは知らなかった。基本的な設定(「ファイト・クラブ」という組織やタイ…